「農民」記事データベース20031110-610-03

「米改革」「経済事業改革」推進

JA全国大会が決議

<傍聴記>


 十月十日午後、東京・渋谷のNHKホールを会場にして、第二十三回JA全国大会が開かれ、米改革・経済事業改革を含む「JA改革の断行」が決議されました。

 全国の農業協同組合が共通の意志を決定することを目的として、三年に一回開催される全国大会ですが、今回はその議案の内容はもちろん、運営についても問題の多い大会となりました。

 「君が代」の斉唱で、午後一時に開会した大会の本体(第一部)は、わずか一時間四十五分しか予定されておらず、それも主催者・来ひん・友誼(ゆうぎ)団体・海外代表のあいさつに三十分、運営委員長報告と全中専務による議案説明に三十分が費やされ、意見表明にあてられたのはわずか二十分。しかも発言者は、全中役員が七割を占める大会運営委員会から指名された原案賛成の三人だけという進行でした。

 この第一部が終了したあと記念シンポジウムが一時間四十分にわたって行われましたが、これは実はNHK教育テレビが十二月に放映を予定している番組の公開録画。そして第三部は、JAグループ提供番組で新しいCMソングを歌う森山良子の記念コンサートが五十分という内容。

 出席者は、開会時には約三千人収容の会場を埋めていましたが、第一部終了後は、各県ごとに退場者が続いてほぼ半数近くとなり、閉会間際にかけつけた小泉首相を迎えるために、途中で三階入場者全員を一・二階席に移動させて形を整えるといったことも行われました。


重大問題も緊張感のない議論

無責任な形だけの大会

 農協組合員である農家の九割以上を農業の担い手からリストラする米改革に農協がその推進役を買って出る、そして、農家の経営と生活に大きな影響を与える農協経済事業から、利益をもたらさない分野を切り離すという歴史的な重大問題を論議する大会としては、何とも緊張感のない、無責任な形だけの集まりとなりました。こうして農協全国連は、前回の「JAバンク」方針に続いて、みずから協同組合であることへの墓穴を掘る姿を世の中にさらけ出したのです。
(Y)

(新聞「農民」2003.11.10付)
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2003年11月

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