「米改革」でゆれる米産地でシンポ 富山県砺波市食健連・農民連私たちの食は? 地域農業は?生産者・消費者・業者が熱い議論
政府がついてきたウソ よくわかった十年ぶりの不作と「米改革」でゆれる米産地。「政府の進める、米を市場原理にまかせる『米改革』で、地域農業はいったいどうなるんだ」という不安が渦まいています。こうした声に応えるシンポジウムが十月二十五日、北陸の米どころ、富山県砺波市で開かれました。主催したのは富山県の食健連と農民連。生産者、消費者、業者が一堂に会して熱い議論を行い、「農業をつぶす国の政策では先が見えない」「うそをついてきた政府に憤りを感じる」といった声が多数出されました。 パネリストは、コープ富山の須坂キヨ常務、JA富山中央会の伊藤孝邦農政生活部長、日本米穀小売商業組合連合会(日米連)の長谷部喜通理事長、農民連の笹渡義夫事務局長の四氏。 須坂さんは、消費者の間でいま、「たった一年の不作でたちまち米不足、米の値段が上がるなんておかしい。国のやり方が間違っている」という声が上がっているといいます。そして、「十年前の米不足が引き金で輸入米がどっと増えた。今度また何が起きるか不安だ」と話しました。 伊藤さんは、小泉首相の「農業鎖国発言」を、「農家の気持ちを逆なでするもの」と厳しく批判。さらに「『米改革』では、『地域水田農業ビジョン』を作ることが助成金をもらう条件。しかし、九五%が兼業農家、米が七割を占める単作地帯の富山県で『ビジョン』作りは大変な話だ」と、苦しい胸の内を明かしました。 「不作が明らかになり急に米が入らなくなった。米屋は不況のなかで値上げできず困っている。高値が続けば米離れが進む」と、米屋さんの実情を紹介した長谷部さんは、米流通の自由化のもとで、価格競争だけの量販店とは違った道を模索するとりくみを説明。 日米連が始めた「お米マイスター」制度は、米のプロとして専門知識をもってお客さんと接する米屋さんを養成するもの。また、農民連と米屋・米卸が協力してとりくむ「準産直米」について、「お互いに顔が見えれば、農家も自分の子どもに食べさせる思いで米を作り、米屋も安心して消費者に提供できる。これからは、農家と手を結んだ流通が必要だ」と話しました。 笹渡さんは、WTOのもとで輸入食品と減反面積が増える一方、農家所得と食料自給率が低下している日本の実情を解き明かしました。そのうえで「農家を米づくりからしめ出す『米改革』は最悪の農政だ」と指摘。「自給率が四〇%しかないなかで、農家を応援する政治、国をあげた自給率向上の取り組みこそ求められる」と訴えました。 パネリストの熱い議論にうながされて、会場からは、「補助金を出さないということは農業をつぶすということだ」「過剰米処理の負担をしなければ減反しても交付金が出ないなんておかしい」「今日の話で政府にうそをつかれてきたのがよくわかった」などの意見が次々と出されます。また、富山県米穀小売商組合の石黒孝理事長もあいさつし、参加者からは「改革の中身が良くつかめた」「流通面で展望が開けた」などの感想も多数寄せられました。
(新聞「農民」2003.11.10付)
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[2003年11月]
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