「農民」記事データベース20031103-609-10

旬の味


 秋。朝、日の出の頃、黄金色の田一面に蜘蛛の巣がキラキラと輝く。雀追いのときにも気付いてはいたが、これほどまでに…と驚く。これだからここにはカメムシなどの害虫がいないのかも▼稲刈りを前に、防雀用のテグス糸をはずす。その糸の蜘蛛の巣にトンボの哀れな残骸がからまっている。みると頭だけ食われていて翅(はね)も胴体も残っている。だから、稲の穂先や葉先に止まりそうになるトンボをみるとハラハラする。止まっている、のどかで平和に見えるトンボもいつも天敵と背中あわせなのだ▼午後、紺碧の空のもと、何千ものトンボの群れがなぜかどれも北西へ北西へとスイスイと飛んで行く。なぜ同じ方向へ? どこへ行くのだろう?▼今日は稲刈り。小学生の孫も稲刈りには田んぼに来る。カマキリとお茶の時間、それとわずかの駄賃がお目当てなのだ▼ま、いいか。ルソーも「子どもに農作業を体験させろ。ただし長時間押しつけるな」(「エミール」)と言ったし、お手伝い(労働)とともに季節や風景・昆虫が思い出に残るなら。

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(新聞「農民」2003.11.3付)
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2003年11月

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