エェッ保育所から給食室が消える!?「保育所から給食室がなくなる!?」――小泉内閣が猛然と進める構造改革。少子化対策の目玉となっている「待機児ゼロ作戦」の裏で、実は保育所給食への企業参入が画策されています。子どもたちから給食のにおいを奪い、商売として成り立つ「安上がりの保育」がねらわれています。
自公政権の“待機児ゼロ作戦”民間委託 すえはコンビニ弁当小泉内閣は構造改革のなかで「待機児(保育所に入りたいのに定員オーバーで入れない子ども)解消」を名目にして、「幼稚園と保育所の設備と制度の一元化」と、保育所だけに義務づけられている「調理室の必置規制の廃止」を打ち出しています。そのねらいは幼稚園の十倍の予算が必要な保育所制度を根底から崩すこと。要するに子どものためではなく、企業参入に道を開き、国の財政負担を減らそう、と言うのです。一方、幼稚園は調理室なしが普通です。入園希望者が激減、経営難で、「預かり保育」とよばれる延長保育が広がっていますが、調理室がないために昼食は仕出し弁当やコンビニ弁当をとるところが増えています。 大手コンビニチェーンampmの「デリスくんランチ」と名付けた幼稚園給食は、調理された状態で急速冷凍し、店舗で加熱して幼稚園に配達。着色料・保存料は使っていないので「自信をもっておすすめします」(ホームページより)と言うのですが…。 すでに一部の自治体では保育所の調理室を使った調理業務の民間委託が九七年から始まっています。構造改革では、さらに給食室をなくしてしまい、そっくり企業に渡してしまおうと、画策しているのです。 これに対して保育士・調理師さんや、保護者などから「実態からかけはなれた、とんでもない暴論だ」と反対の声が噴出しています。保育所の給食室は昼食だけでなく、アレルギー食や離乳食、おやつなど、子どもたちの成長に合わせて、様子を見ながら、豊かな食生活を支えています。 全国保育団体連絡会(全保連)会長の上野さと子さんは「給食は保育の一環」と強調します。カレーライスも、小さい子たちにはマイルドに、少し辛さを楽しめる年長組はちょっぴり辛く…。アレルギー食作りでは「友達と同じものが食べたい」子どもの願いに応えてコピー食を編み出すなど「子どもの心、育ちに目を向けて、保育士、保護者と一緒に作ってきた」(上野さん)。これが保育所給食です。 保育所給食の「食文化を伝える」という役割も、今日ますます大切さを増しています。「親も若く、家庭での食事作りや食生活への支援も、給食室があるからこそできること。行事食や伝統食など、地域の豊かな食生活を守るうえでも、給食は単に栄養を満たすだけではないのです」と上野さん。 「体ができ、味覚が育つ幼児期に、安全な食材で、食べ物の“本当の味”を知ることはもっとも大切です。企業がもうけようとすれば、結局安い食材になる。民営化は子どもたちに絶対よくない」――子どもの成長を守ることと、日本の農業を守ることは、どうやら同じことのようです。
(新聞「農民」2003.11.3付)
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[2003年11月]
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