ディーゼル車規制に農用車の特例を小川 政則
東京、神奈川、千葉、埼玉の一都三県で、十月一日からディーゼル車の排ガス規制が始まりました。この措置は、深刻な大気汚染を改善するという観点からやむをえない面がありますが、画一的で拙速な運用は、農家の経営存続に大きな負担となり、地域の環境保全にも新たな問題を生じさせかねません。 こうしたことから神奈川県では、酪農家が中心になって、(1)ディーゼル車規制について、農業専用車を特別認定し、罰則免除など規制を緩和すること、(2)農業専用のディーゼル車買い替え義務にともなう新車購入、減少装置購入などに大幅な助成措置を行うこと、を求める要望書の提出と署名運動が始まりました。 酪農家の多くは、小型ダンプやバキュームカーなどを所有し、飼料や牛ふん堆肥の運搬をしています。しかし、その走行距離は、年間約千キロメートル以内で、運送業者とは比べものになりません。 一方、酪農家の収益は農産物自由化やBSEなどで悪化し、さらに来年十一月以降の家畜排せつ物の処理施設の整備義務が重なって、今回の規制による車両更新(約三百万円)や減少装置取付(約三十万円)の負担が、廃業をうながす危険さえあります。 都市近郊の農業は、食料生産、洪水防止、水源かん養、災害時の避難場所、良好な景観の形成、保健休養の場の提供など大きな役割を担っています。とくに畜産・酪農経営は、地域の遊休農地の利用や稲わらなどの飼料化、堆肥の流通など、地域の緑地保全に大きく貢献してきました。 こうした環境への貢献や経済的な負担などを考慮し、きめ細かい対応が必要です。 (元全農総合営農対策部技術主管)
(新聞「農民」2003.10.27付)
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[2003年10月]
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