「農民」記事データベース20031020-607-09

旬の味


 カンクンからの帰途、メキシコの農村を訪れる機会があった。主食はトウモロコシで、日本のごはんに当たるトルティーヤも様々な食べ方があり、しばし異国の食文化に浸った▼日本の稲作が数千年の歴史をもつのと同じくメキシコのトウモロコシも奥が深い。栽培されているのは主にホワイト種で、白く腰回りが太くがっしりしている。現在八千種のタネが保存されているという。日本の水稲品種よりはるかに多いのに驚いた。トウモロコシにかける熱い思いが伝わってくる▼アメリカの穀物メジャーが遺伝子組み換えの黄色トウモロコシの輸出攻勢をかけている。秋の収穫をねらっての大量輸出で価格が暴落し、経営破たんが相次いでいる話に日本農業の現実を聞いている錯覚に陥った。WTOの陰がここにもあった▼農家でご馳走になった郷土食は忘れられない味だった。座禅草に似たトウモロコシの大きな葉でくるんだもの。中の具がうまくおさまっており、日本の笹巻のようだ。作り方を交流する。どの国にも食べてほっとするものがある。

(長)

(新聞「農民」2003.10.20付)
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2003年10月

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