米つぶしに抗し準産直米に初挑戦こんな時だからこそ消費者、米屋さんへ農民連の米送ろう九州各地
「米改革」の危険くり返し論議して“来年のつながるルートを”「日本の食糧基地」と言われる九州で今、“作る人の顔が見える”米を米卸や米屋さんを通して消費者に届ける、農民連の準産直米のとりくみが広がっています。その原動力は、積み重ねてきた「米改革」の学習でした。「『米改革』は米流通を市場原理にゆだね、米価を暴落させて農家を米づくりからしめ出すもの。これをやめさせるとともに、自らが売り先を持ち、安定的に供給することの意義をくり返し論議してきた」と、九州各地を回る全国連の村尻勝信常任委員(宮崎県連書記長)。そのなかで、「高ければ高いほどいい」という声は影をひそめ、「米不足の今年こそ、消費者、米屋さんの期待に応え、来年につなげよう」との意見が大勢になりました。 また「米屋さんと生産者をつなぐ交流会」(大阪)への参加も大きな力になっています。福岡、熊本、大分、宮崎の十四人が参加して「ルートをつけること」を実感。これまでに、福岡県連が二十〜三十トン、大分県連が十トン、宮崎県連が十トン、熊本と鹿児島でもとりくみが進んでいます。村尻さんは「準産直米を広げ、十一月の総選挙では小泉内閣の米・農業つぶしをストップさせたい」と決意を語っています。
「霧島山麓米」と――宮崎「米改革」が本格的に動き出した今年から、宮崎県連でも「準産直米」の取り組みを進めています。今年の夏は、「超早場米コシヒカリ」を十トン取り組み、普通水稲の収穫が始まる十月には新たに十トンを送る計画を立て、組合員と話し合いを続けてきました。 八月に大阪で行われた「米屋さんとの交流会」にも生産者四人が参加し、「自分の米の流れがわかった」と確信を持って帰りました。その一人、都城市で七ヘクタールを経営している柳紀代美さんは「これから先は売り先を持っていなければ稲作は続けられない。準産直を軌道に乗せ、作付も増やしたい。価格も高ければ高いほど良いなどとは言わない。生産者も卸も小売も消費者も合意が得られる価格というのが魅力だ」と決意を述べています。 県連では、都城地域の米を「霧島山麓米」と名付け、農民連ブランドとして確立しようと“検査袋”も新たに作り、取り組みを強めています。 (宮崎県連 村尻勝信)
米の販路拡大に――福岡福岡県連の「みのう農民組合」は九月二十一日、村尻常任委員を招いて「米改革」と消費税の問題についての学習会を開きました。 村尻さんは、「米改革」の本質、ねらいについて具体例をあげながら説明し、農民連が取り組んでいる準産直米の重要な役割を強調しました。そして宮崎県連が「米改革」の学習を進める中で、大阪への準産直米にも取り組むようになった活動を知り、宮崎県連の経験から学ばなければという思いが多くの組合員の意識となりました。 みのう農民組合は、これまで販路の拡大ができずに、もっと米を作りたいという組合員の意欲を十分に引き出せずにいました。しかし、今回の学習会では、「よか話を聞いた」との感想が寄せられ、米の販路拡大の突破口になりました。 新しい米袋も届き、準産直米の取り組みが具体化し、その成果が期待されています。 (みのう農民組合 佐々木督文)
組合員を増やし――大分準産直米の取り組みを進める、大分県竹田市の竹田農民連。その中心になっているのが、支部長の山口敬俊さんです。 山口さんは二・五ヘクタールの稲作農家。農民連の「お米屋さんと生産者をつなぐ交流会」に参加した山口さんは、「安全でおいしい、顔の見えるお米を買いたいという消費者の要望に真剣に応えようとしている米卸や米屋さんと話し合った。おいしい米を作るには、土作りに十年はかかるという話に米屋さんも感心していた。本格的に準産直米に取り組まなければと思った」と語ります。 竹田農民連では六人の組合員が準産直米に取り組みます。保管場所や検査体制の準備も行い、稲刈りは十月十四〜十五日頃から始まり、十一月初旬には終わる予定。山口さんは「竹田農民連は税金で組織された組合。“もの作り”の取り組みは初めての挑戦。準産直米の取り組みを成功させ、新しい組合員を増やしていきたい」と意欲を燃やしています。 (西村)
宮崎の経験から――鹿児島鹿児島県農民連は九月二十一日の執行委員会で宮崎県連の経験を学び、準産直米のとりくみを決めました。さっそく二十六日、丸野武人事務局長、下屋一美執行委員が、姶良・伊佐農民組合の川崎正博組合長の紹介で、十ヘクタールの米作農家を訪問。夫婦そろって話し合い、「なんとかしましょう」との返事をもらいました。 また、串木野・日置農民組合が十月二日に開いた学習会には、兼業の息子と二人で米作りを始めた女性をはじめ、大型農具を一式揃えている三世帯など五世帯六人が参加。全国農民連米対策部の呼びかけをもとに、「『米改革』では、米作りがやっていけなくなる。将来につながる確かな米ルートを作りだそう」と訴えました。参加者からは「経費はいくらかかるのか」「手取りはどうなるのか」「仲間にも参加を呼びかけたい」といった積極的な質問や意見も。引き続き学習会を開いて、準産直米のとりくみを強めています。 (串木野・日置農民組合 松下兼文)
あなたの貴重な米を将来のため生かそう農民連米対策部 横山昭三事務局長政府が進める「米ビジネス拡大路線」のもと、米価が異常に値上がりし、街の米屋さんに米が回らず、米屋さんからは「これでは米屋つぶしだ」の声が上がっています。この間、農民連が消費者や業者と共同して培ってきた信頼関係をさらに発展させられるかどうかが問われています。いま、農民連の米をほんとうに必要としているところに送ろうではありませんか。すべての会員が米の産直、準産直に取り組みましょう。一軒で五俵、十俵でも全国では大きな力。こんなときだからこそ、あなたの貴重な米を将来のために生かしましょう。
(新聞「農民」2003.10.20付)
|
[2003年10月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224
Copyright(c)1998-2003, 農民運動全国連合会