旬の味
十年ぶりに農業共済制度の被害申告を行うために水田の全耕地の調査が行われた。一九九三年の「米パニック」を引き起こした大冷害以来の経験だ▼この地域の被害調査は、水田の一部を刈り取って実測し、全体収量を推計する、「坪刈り」と呼ばれる方法で行われる。実測して推計するだけに誤差が少ないが、一枚一枚の水田の刈り取りと脱穀作業がついて回り、結構手間がかかる。私の集落の水田は、一枚の水田面積が大型化しているとはいえ、三百筆に達する▼夫婦そろって集合し、朝露の切れるのを待って作業に取りかかるが、昼食抜きで二日かかった。集計を終えての「ご苦労さん会」は、冷害の重みはつきまとうが、四方山話に花が咲く。これが農村の活力源である。経営の大小を問わず支え合っている姿こそ、集落の力そのものだ▼「米改革」では、この集落の中から担い手を明確にせよと言う。集落の中で生活しているもの同士、「あなたは将来農業を辞めてもらいます」と、どうして言えるだろうか。大きなお世話だと言いたい。 (白)
(新聞「農民」2003.10.13付)
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[2003年10月]
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