「農民」記事データベース20031006-605-08

世界で初めての雑草抜き取り機

町の発明家が開発した!!

群馬・甘楽の竹内秀太郎さん

 刈っても刈ってもすぐ生えてきてしまう雑草。それを根こそぎ抜き取る機械を、世界で初めて発明したのは、小さな町工場の技と知恵でした。


小さな工場の技一流 いろいろなタイプも

 町工場の知恵と技

 群馬県甘楽町にある竹内製作所は、二十坪足らずの町工場。「たしかにハイテクじゃないけど、小さい・でっかいが問題じゃない。コンピューターは覚えたことしかできないが、人間は腕を磨いて知恵をしぼれば何でもできる」というのは代表の竹内秀太郎さん(68)。自走式雑草抜き取り機「ウィーダー・ワン」の生みの親です。

 畑でも、荒地でも、どんな雑草も抜き取ってしまう「ウィーダー・ワン」の心臓部は、前輪と後輪の間のドラム。それに取り付けたピンがドラムの回転に合わせて伸び縮みし、土中で草の根をひっかけて抜き取り、トップ部ではひっこんで草の巻き込みを防ぎます(図参照〈図はありません〉)。ドラムの幅は三十センチ、走行性能は毎分十五メートル。重量は約三十五キロ、前にウエイトがあるので楽に方向転換できます。

 さらに、「フレームをアルミにすれば十キロくらい軽量化でき、女性でも扱いやすくなる」と竹内さん。また、ドラム幅を百二十センチに広げ、トラクターで牽引するタイプの「ウィーダー・ワイド」をはじめ、果樹園用の乗用タイプ、家庭菜園向けの電動タイプなど、様々なタイプを考案中。工夫に終わりはありません。

 “ものづくり”の楽しさ

 「次代の子どもたちに“ものづくり”の楽しさを引き継ぎたい」と語る竹内さん。十七歳のころから東京の町工場で鍛えられ、二十代で独立。大企業の下請けには入らず、独自のアイデアと確かな技術で窯業用の「粘土と生石の選別機」などを開発・製造してきました。

 「下請けは、親企業の規格に合わせて設備を年中更新しなければならないだろ。それで切り捨てられたら借金しか残らない」。高い技術力で日本の“ものづくり”を支えてきた中小業者の誇りが、大企業への鋭い批判に向かいます。

 雑草抜き取り機を思いついたのは、一時引退して“にわか百姓”をしていたとき。「コツコツと技術を覚えて、新しいものにチャレンジする、親方のような生き方がしたい」。竹内さんに心酔し、一緒に仕事をするようになった木村やすのぶさん(35)はこう言います。“ものづくり”にかける情熱が、青年の心を引き付けています。

(二瓶)


 ※「ウィーダー・ワン」のデモ 11月7、13、19、24日の10時半〜11時半および13時半〜14時半。場所・甘楽ふるさと農園(甘楽町大字上野834)。参加希望者は、竹内製作所(電話0274―74―5944)まで、事前に電話を。

(新聞「農民」2003.10.6付)
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2003年10月

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