脱サラして農業に―有機野菜出荷の“築楽坊主”の2人
新鮮 面白い 一生の仕事に茨城県新治村の久松達央さん(32)と、つくば市の松浦英紀さん(27)。脱サラし、それぞれ有機農業を営んでいた二人が昨年六月、「筑楽坊主(ちくらくぼうず)」を結成して直売所などに野菜を出荷。今年六月からは農民連の茨城県南ネットワークを通じてニンジン、ナスなども出荷しています。「“筑楽坊主”の名は“ちくらっぽう”という方言からとりました。“うそつき坊主”という意味ですが、二人ともヘアスタイルが一緒なので…」と笑いながら、とっても短い頭髪をなでる久松さんと松浦さん。「くだけた感じで、自分たちにピッタリと思い、この名前にした」と話します。
週一回引き売りも三年前、建設の仕事をしていた松浦さんは、農業をやりたいという友人に誘われ、軽い気持ちで一年間の有機農業研修を受けました。 農業についてまったく知らず、「野菜も種さえ播けば収穫できる」と考えていたそうですが、研修は「苦労だと感じなかった。何をやっても新鮮で、農業は予想以上に面白かった」と目を輝かしながら話します。 この時、「農業を一生の仕事に」と決意し、生まれ育った茎崎町(現在つくば市)の上岩崎で農業を営む高野栄さんから農地を借りました。 現在、百アールの畑で有機肥料だけを使い、三十品目の野菜を無農薬で栽培しています。主な販売先は東京都内にある高野さんの直売所ですが、近くの団地で週一回の引き売りもしています。
豊かな自然の中で楽しみたい自然豊かな田舎で一方、大阪府豊中市で五年間サラリーマンをやっていた久松さんは、結婚を機に、緑が少なく、ビルが林立した都会でなく、田舎で子どもを育てたいと思うようになりました。 「自然豊かな田舎で暮らすなら農業」と、二十七歳のときに就農を決意し、有機農業に取り組んでいる生産法人で研修。新治村にある母親の実家で農地を借りました。 現在、八十アールの畑で五十品目の野菜を無農薬で生産し、友人や親戚などのつながりで広げた、百軒近い消費者にボックス野菜を届けています。
2年前に意気投合そんな二人が知り合ったのは二年前の秋。つくば大学の学生が主催した有機農業の学習会に参加した時でした。 新しく農業を始め、作り方も同じでけっこう息が合うという二人は昨年六月、土浦市にある「クルトロード」という直売所の無農薬・有機コーナーを任されることになり、“筑楽坊主”を結成しました。 直売所の店員さんから「今度、これ持ってきて、私買うから」と注文が来るといい、評判は上々。それぞれ主要な販売先が決まっているため、「一人だと出せないものも、二人合わせて量が合う」と話します。
看板を大事にして「せっかく作った“筑楽坊主”の看板を大事にしていきたい」と希望を語る松浦さん。 久松さんは「ウソをつかないで楽しみたい――これが“筑楽坊主”のコンセプト」と話してくれました。
(新聞「農民」2003.9.29付)
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[2003年9月]
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