提案会議に参加して胸ときめく県民参加の政策づくり長 野
知事が代われば変化もいろいろ長野県では、知事が代わって、いろいろな変化が現れています。その一つが「県民参加の政策づくり推進事業」の募集。ひょんなことから知った佐久楽農倶楽部と佐久産直センターは「地域コミュニティの活性化について」「学校給食への地域農産物の供給について」の小論文で応募。二つとも県が取り上げ、八月下旬、それについて懇談する会議が開かれました。 県側は企画課長、農政課長以下十一人。席の並べ方も、農民を正面にして、入り口に県側が並び、これまでとは違って常識的。簡単なあいさつと相互の自己紹介ですぐ実質的な会議になりました。
目を輝かせて提案を聞く若い幹部なにしろ年功序列を廃して、農政部長を農業改良普及センターから抜擢するくらいだから、企画とか政策という分野には発想が新鮮で若くて意欲的な課長クラスが配置されています。「以前、佐久の普及所におり、今は地産地消の担当をしています」という女性も。その意欲と真剣さは、提案をじっと聞き、質疑では目を輝かせてメモを取ったりうなずいたりする仕草や、その発言の内容にもあらわれていました。
質疑や対話での特徴は…「楽農倶楽部の特徴は専業農家もいるが、兼業農家が多く、野菜は昔から作り慣れた、この地の気候風土に適したもので、多くはお母ちゃんやおばあちゃんが自家用に作っているもの。少量多品目の生産が力になっており、ごく自然に仲間が仲間を増やしている」――ことなど、小林吉彦会長が楽農倶楽部の自己紹介。土屋浄事務局長が二つの提案を説明しました。 県「これまで行政がどんなに呼びかけても農家は集まらなかった。楽農倶楽部にはどうしてそんなに集まるのか」 農「作るものは昔から作り慣れたもので、あまり金をかけない。だからみんなが集まりやすい」「大勢集まるから少量多品目が可能になる」「学校給食はこういう人たちの協力が必要ではないか」 県「楽農倶楽部について現地に行ってみたい」
コンピュータや数字でなく生きた血の通う行政農「農業は農協、商店街のことは商工会議所という、古い縦割りのお役所的発想はダメだ。草の根の自発性や自由な発想が大事だ」 県「全く同じ考えだ」 統計やコンピュータだけでなく血の通った現場での、行政との交流懇談への期待に、かつてないときめきを覚えました。
学校給食に地場農産物使う農「地域の学校給食には、楽農倶楽部のような多品目少量生産が求められる。お母ちゃん、おばあちゃんも含めて兼業農家に目を向けるべきだ」「そういう組織に援助してほしい」 県「考えたい」 農「地元の農産物を学校給食にという場合、作ることが根本だ」「小諸市や北御牧村の学校給食に注目してほしい」 県は今年、学校給食に地場農産物を使うよう、農政部と教育委員会に営業活動を開始させました。これは、作るなという農政が続いただけに画期的なこと。実現可能なものからのとりくみ、現場での実践が試されます。
商店街の活性化に周辺農業も新幹線が通って、駅周辺に大型店が野放しに展開し、佐久地方の商店街がゴーストタウンのように寂れてしまった。それを単純に昔に戻すというのは現実的でない。活性化とは要するにもっと人が街に集まること。電器や洋服・洋品・衣類、家具などは毎日買うものでない。毎日欠かせないのは生鮮三品。ここに農民の生産意欲と街の活性化の接点がある――というのが、商店街・地域コミュニティの活性化についての楽農倶楽部の提案。 農「街の活性化については商店会の要求を基礎にするのは当然だが、周辺農業との接点を探求する人や組織に広く呼びかけ、最初から相談しあう方式が不可欠。一部の人が方針や案を決めて賛同を募る『この指とまれ』でなく、広く呼びかけたい。楽農倶楽部だけのイニシアチブは考えない」 県「共感することが多い。制度的、財政的な援助も検討したい」 今後、日常的に現地で具体化する懇談の場をもつことを約束しました。
次の日にはもう県の方から…次の日、県商工部から「コミュニティ・ビジネス創業資金助成事業」の要綱が佐久楽農倶楽部に送られてきて、「今年はもう期限が過ぎたが、来年もできるから利用してほしい」という連絡がありました。きびきびした県政が感じられ、うれしい一日でした。 (長野県農民連 小林節夫)
(新聞「農民」2003.9.22付)
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[2003年9月]
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