「農民」記事データベース20030922-603-06

職場の枠超え地域からも力強く

リストラ反対、雇用守れ 共同で

静岡・熱海で全国交流集会

関連/いもち病発生 半分に減収


各地から新しい取り組み次々

 「リストラ反対、雇用と地域経済を守る全国交流集会」が、九月三、四の両日、静岡県熱海市で開かれ、四十七都道府県から四百五十人が集いました。よびかけ団体は全国労働組合総連合、全国商工団体連合会、新日本婦人の会、自由法曹団、日本共産党。

 よびかけ団体を代表して、全労連の熊谷金道議長が「雇用・労働条件の悪化はさらに深刻化しているが、同時に、個別企業の枠を超えた共同行動など『地域』からの新しい取り組みが始まっている」と主催者あいさつ。

 埼玉県の自動車部品メーカー・ボッシュの労働者は「労働者五百人をいったん退職させてから、秋田に移転させるリストラが強行されそうになった。労働者を一人一人訪問して『家族の会』を結成。学習会を重ねるなかで団結が広がり、ほとんどの労働者が承諾書の提出を拒否し、転籍をはね返した」と報告し、会場を大きく励ましました。

 また福岡県の八幡製鉄の労働者からは、「極限までの人減らし・労働強化の結果、溶鉱炉の鋼で全身焼け焦げるなど悲惨な死亡災害が増加。去年は二十四人も亡くなった。地域にも実態を知らせるビラをまき、企業の横暴への批判が高まっている」という発言も。

 一方、工場閉鎖や解雇は地域経済にも大きく影響を及ぼしています。岩手県の共産党県議は「誘致企業が突然工場を閉鎖。自治体にも怒りが広がっており、県も追及して退職者の九割に再就職先を確保させた」と報告。地域では企業の社会的責任を問う声が、党派を越えて巻き起こっているとの発言が相次ぎました。

 また自治体が雇用と地域経済に真剣に取り組んでいる例も多数報告されました。長野県では「県が事業所を直接訪問して徹底調査を行い、ムダな大型公共事業を減らし、地域の資源を生かした経済振興策で常時雇用を四年間で二万人増やすプランを策定」(長野県労連)。新潟県燕市の共産党県議は「中小企業支援センターの建設をきっかけに、地域産業振興条例の策定に民商の代表も参加し積極的に提言した。技術開発や販路拡大など中小企業支援が取り組まれ、さっそく共同受注が始まってたいへん喜ばれている」と報告しました。

 この他、住民参加で三年間かけて街づくりを議論し、循環型の経済振興策を策定し、地元木材の活用や農産物の価格保障制度などを行っている岩手県紫波町などの経験も報告されました。

 二日目は、五会場に分かれて分散討論を行い、解散しました。


いもち病発生 半分に減収

岐阜・金山町

 写真〈写真はありません〉は、裏山から収穫間近の水田を見たところです。軽トラが走る農道の手前、ヒトメボレの田んぼにいもち病が発生しています(矢印の部分)。

 岐阜県金山町では、山あいの中晩生種にいもち病が大発生、平年の半作に減収する可能性もあります。曇雨天が続き、日照が少なく、やや低温(二五度くらい)で湿度が高いと発生するいもち病にとって、今年の夏はまさに最適条件でした。

 同時に私は、米つぶしを進める農政こそ、いもち病まん延の最大の原因だと思っています。米価の暴落が農家の生産意欲を奪い、農村の高齢化を進め、荒廃農地が拡大しています。農協や普及所が呼びかける「青空教室」にもなかなか人が集まりません。普及所も人減らしで、普及員が田を見回ることも少なくなり、そうしたなかで初期の発生が見逃され、広くまん延してしまいました。

 私の二ヘクタールの田んぼのうち一・五ヘクタールは、続けられなくなったお年寄りからの請け負いです。そうしなければ、水路の掃除や畦の草刈りもままならず、地域農業そのものが崩壊しかねません。

 いま「米改革」にもとづく「地域ビジョン」づくりが国・県から下ろされ、役場の課長は「困った」「弱った」と頭を抱えています。この秋、「米改革」とのたたかいとともに、地域農業を維持し発展させる話し合いが急務だと感じています。

(岐阜農民連 中島新吾)

(新聞「農民」2003.9.22付)
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2003年9月

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