「農民」記事データベース20030915-602-05

土砂に埋った水田、復旧に全力

農民連 実態調査、要望聞く


台風10号北海道大被害

 八月九〜十日に北海道に上陸した台風10号は記録的な大雨で十人が死亡、いまだに一人が行方不明です(八月二十八日現在)。とくに総雨量が三〇〇ミリを超えた日高地方では沢という沢、川という川が氾濫し、土砂と流木が住宅や農地に押し寄せました。北海道農民連は現地におもむき農業被害の実態を調査し、農家から要望を聞きました。

 「ドーンという音がしたと思ったら、土砂と流木が押し寄せてきた。トラクターで道路を覆った流木を退かし、ようやく非難した」と門別町の農家。同町里平地区は、集落全体が想像を絶する被害を受け、今なお住宅の周りが少し片付けられた程度。土砂と流木に埋めつくされた水田や牧草地は復旧のメドが立っていません。牛舎の屋根まで土砂が押し寄せた酪農家は「牛舎は傾き、牧草はほとんど流された。泥にうまった畑を見ると、営農を続ける意欲が出てこない」と嘆きます。

 農民連組合員の吉田昌永さんは、同町正和の肉牛農家。道路が寸断され電話・電気も不通になり“陸の孤島”化したなかで、携帯電話で連絡を取り、復旧に全力を上げました。今でもボランティアの受け入れなどに尽力し、熊が出没していることから、復旧工事促進のためにハンターとしてもかり出されています。

 平取町幌毛志地区の下川孝之さんは、沙流川の堤防の決壊で、トマトハウスが一・五メートルも水につかりました。トマトが泥だらけになり、出荷するのに一個ずつ水洗いしています。同町は水田転作でトマト栽培が盛んですが、「大幅な減収は避けられない。暖房機やコンバイン、トラクターなど農業機械も水につかり、修理しないと使えない」と言います。

 田植え用マットも大部分が流されてしまい、水田は畦まで土砂が埋まり、ぬかるんでコンバインが入れない状態。「何とか来年には水稲が作れるように田んぼを復旧してほしい」というのが、切実な要望になっています。

 北海道農民連は、国や道に対して復旧に全力をあげるよう要求していくとともに、被災した農家への義援金を応募しています。

 義援金の送付先=郵便口座 口座番号・02700‐7‐6443 加入者名・道農民連
(北海道農民連 野呂光夫)

(新聞「農民」2003.9.15付)
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2003年9月

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