旬の味
佐久では低温が稲の花粉母細胞減数分裂期の前だったので障害型冷害はなかったものの、多くは出穂が十日以上遅れて八月下旬にずれ込んだ。下旬になって三日も好天が続くと単純に喜んだが、入道雲の峰はとうに崩れ、たまに日が射しても力なく弱々しい。昼間のコオロギの声も「チチ…」と孤独で小さい▼すべての現象は「秋が早い」ことを告げ、しかも日照不足と低温だ。これで光合成が十分できるわけがない。「実が細い」生育遅延型冷害は必至。「陽気さえよければ」という頼みの綱も切れそうだ▼標高七百メートル前後の地帯でまことしやかに「早植えは高温障害を起こし胴割米が多くなる」と多収を抑える稚苗遅植えが奨励されたが、それが遅延型冷害を助長したのではないか。成苗早植えは断然違う▼不作の年こそ産直や準産直の約束を、麦を作って食い延ばしてでも守りたい。売り惜しみ、便乗値上げを図る小才に前途はない。愚直で太いパイプを築く絶好のチャンスではなかろうか。そう思うと稲作の前途に強い日が射すように思えるのだが。 (節)
(新聞「農民」2003.9.8付)
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[2003年9月]
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