話題の舞台稲の旋律東京芸術座
稲の成長とともに育つ若い女性と農村青年の心の交流東京芸術座が上演する「稲の旋律」は、旭爪(ひのつめ)あかねの同名小説を平石耕一が劇化したものです。原作は「しんぶん赤旗」の連載小説。その後、単行本になり第35回多喜二・百合子賞を受賞した話題作。「ひきこもり」の女性が発したSOSのメモをきっかけに始まった若い女性と農業青年との交流、その心の葛藤と再生の過程を往復書簡の形式でつづったものでした。舞台はプロローグのある九場で構成。主人公の藪崎千華は三十歳。大学中退。何度か仕事に就くが長続きせず、ひきこもりになっていました。千華が田んぼの農道に駆け込んでくるところから始まります。千華がペットボトルに書き込んだメモは「誰か私を助けてください」。それを拾ったのが農業をしている広瀬晋平でした。晋平は農業高校出身の四十六歳。千華に手紙を書いて送ります。原作の往復書簡の世界が、登場人物のせりふとなって立ち上がってきます。やがて、稲の成長とともに千華の心も変化していきます。 千華役の斎藤薫さんは、劇団に入って八年目。はじめての大役です。「私は群馬出身ですので、ものを育てる仕事はよく知っていますから、今回の役をつくる仕事はリンクしているんです」と笑います。 「子どものころからピアノやバレエを習っていたし、幼稚園から受験していましたから、千華の育った環境とよく似ています。だから、すごくわかるという面があるので、そこから出発して役がつくれればいいなと思っています。ひきこもりについては、どこかに甘えがあるんじゃないかと思っていましたが、とても繊細で人にやさしいから、その世界に入っていくんだな、ということを感じました。人間性を回復していく生き方に共感が集まると思います」と斎藤さん。 出演は晋平に浦山迅・手塚正雄(Wキャスト)、千華の母・和代に崎田和子・青木由紀子(Wキャスト)、晋平の父・豊治に井上鉄夫、ほか。演出は平石耕一。 (鈴木太郎)
*9月11日〜14日、東京・六本木・俳優座劇場。連絡先=東京芸術座 電話03(3997)4341
(新聞「農民」2003.9.8付)
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[2003年9月]
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