「農民」記事データベース20030908-601-05

農民連・食健連が交渉

冷害深刻! 青刈りやめ、米安定供給策とれ

農水省に強く要求

 「不作が明らかになっているのに、なぜ青刈りを中止しないのか」「冷害に対する万全な対策をとれ」――八月二十七日、全国食健連と農民連の代表は、冷害対策と主食・米の安定供給を求め農水省と交渉しました。
 この日、農水省は平成十五年産水稲の八月十五日現在の作況を発表しました。とくに北海道、青森、岩手、宮城の四道県が「著しい不良」。一九九三年の作況指数七四という大凶作以来の不作になることが避けられない見通し。


 参加者は、今年の七〜八月の気温と日照時間が九三年当時をも下回り、深刻な不作が予想される北海道・東北などの実態を明らかにしたうえで、「計画している青刈りをただちに中止し、増産につとめよ」と要求。

 凶作でも青刈り?

 担当者は青刈りの面積などの公表を渋りましたが、参加者の強い要求で青刈りの全面積が九千ヘクタールであることを公表(内訳は、しめ縄など加工用三千ヘクタール、ホールクロップサイレージ用五千ヘクタール、敷きワラ用千ヘクタール)。農民連は七月二十一日に青刈り中止を求める申し入れをし、その後も何回となく問い合わせ・要求をしてきましたが、農水省側は無視してきました。

 参加者から「不作が決定的と言われるなかで、青刈りを強行するな」と追及されると「畜産用に契約している。畜産をどうするんだ」と開き直る担当者。これに対して参加者は「人間に古米を食べさせ、家畜には新米(新ワラ)を食べさせると言うのか」「十年前も不作などどこ吹く風と青刈りをやって、米パニックを招いた反省は全然ないのか」と糾弾しました。

 七年前の古米が主食

 実際、政府は九三年の「米パニック」の教訓を生かすどころか、不作をまったく想定せず、在庫減らしのために減反を大幅に強化し、備蓄用の政府買い入れをどんどん削減しました。この結果、平成十四・十三年産米の在庫がなくなるという事態になっています。参加者はこうした事態を明らかにしたうえで、政府の備蓄米がどのくらいあるかを問いただしました。

 担当者が渋々公表した十月末の在庫見込みは百五十万トン(うち政府備蓄米は百四十万トン)。しかし、参加者がいくら質問しても年産別の内訳は公表せず、ただ「安定供給がはかれるようにしている。備蓄量は十年前より多く、安定供給に支障はない」と繰り返すだけ。

 年産別の内訳を公表できないのは当然です。六月末の政府備蓄米は百六十三万トンでしたが、十四年産米(十四万トン)と十三年産米(六万トン)はすでに放出。残る百四十三万トンのうち、五十万トンはすでに政府が「プラスチック原料」用などに売却処分を検討している“超古米”(八年産十四万トン、九年産三十六万トン)。

 こういう事実をもとに「これで『安定供給に支障はない』なとど言えるのか」と参加者が追及すると、「消費者が新米や銘柄米に集中すれば、供給は不安定になるかもしれない」などと、消費者に責任を転嫁し、「七年前の古米を食べろというのか」と追及されると「好みの問題だ」などと常軌を逸した無責任答弁。

 価格つり上げ、投機規制を

 また「大手企業の入札独占や価格つり上げなどの投機的な動きを規制し、すべての米小売店に米が平等にゆきわたるように対策を講じるべきだ」という要求に対しては、現に進んでいる事態に目をつむって、「便乗値上げはない」「安定供給に支障はない」と一つ覚えの繰り返し。

 さらに「不作が明らかになったいま、米生産を縮小し、米の安定供給に対する政府の責任を投げ捨てる『米改革』は中止すべきだ」との要求に対しては「改革は進める」と開き直り。「少なくとも来年の減反拡大は中止すべきだ」という当然の要求に対しても、「今後の作柄次第だ」として、減反拡大の中止を明言しませんでした。

 今こそ「米改革」許さぬ運動を

 国民の主食・米に対する責任放棄、国産米の縮小、「コメ・ビジネス」の名による大企業の米流通支配――これが「米改革」のねらいです。いま進んでいる事態は「米改革」の先取りと言っていいもの。それだけに国民諸階層とともに、断固として「米改革」の強行を許さない運動を強化することが求められています。

(新聞「農民」2003.9.8付)
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2003年9月

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