「農民」記事データベース20030908-601-01

関西に続き東京でも 生産者と米屋さんをつなぐ大交流会

不作の時にこそ顔がみえて本音で語り合える関係を

米の出来はどうなる?

関連/がんばって作っている人お客さんの評判よかった


稲穂がズラリ展示、新米の試食用おにぎりも

 「“顔の見える関係”をさらに進めて“作り方のわかる関係”をモットーに、ともに手をつなぎ、日本の米を消費者に届けよう」――大阪に続いて東京での「生産者と米屋さんをつなぐ大交流会」が八月二十五日、文京区民センターで開かれました。

 この交流会は今年で二回目。会場も大きくなり、米卸や米屋さんが百十六人、生産者が二十二県から百十六人参加したのをはじめ、消費者やマスコミなど昨年を大きく上回る二百五十五人が集いました。冷害による不作が懸念されるなか、「こういう時だからこそ、産地をまるごと届けられる信頼関係を築こう」と、熱のこもった真剣な意見が交わされました。

 冒頭、堂前貢農民連米対策部長が「米改革は、中小農家をリストラし、国産米つぶしをねらったもの。農民連は生産し、販売ルートをつくることを米改革とのたたかいの柱として、米屋さんを通じて消費者に届ける準産直に取り組み、米屋さんの大きな期待に応えたい」とあいさつ。

 来賓の日本米穀小売商業組合連合会(日米連)の長谷部喜通理事長は「計画流通米制度が廃止され、量販店が原価割れの価格をつけるなど、いま安売り一辺倒になっている。今日は農民連と小売でよく話し合い、あらゆるアイデアを出し合って将来の展望をひらきたい」とよびかけました。

 また全国商工団体連合会(全商連)会長で、米屋さんでもある市川喜一さんも出席し、「いま商売もみんなたいへんだ。小泉構造改革は、農業と中小業者をつぶすもの。各層の協力共同で商売と生産を守ろう」とあいさつしました。

 お米屋さんから手紙届き感動

 産地報告では、各地の生産者が、今朝刈ったばかりという稲穂をもって登場。低温・日照不足に悩まされながらも、なんとか安全・安心な農民連の米を届けようと努力している様子が伝えられました。展示コーナーには稲穂がズラリと展示され、収穫が始まったばかりの千葉産ふさおとめの試食用おにぎりが「けっこうウマイね」と好評を呼んでいました。

 ほくほく(東北・北海道)ネットの森谷精事務局長は「低温障害は深刻だが、今後の状況は、お天気次第というのが正直なところ。準産直発足時から網目を一・九ミリに設定し、良質な米を届けており、JAの米とは見た目も違う、食味もよいという評価をもらっている。毎年開いている米屋さんの店頭での交流会に今年も取り組みたい」と発言。

 関東産直ネットワークの小倉毅さんは「千葉ではふさおとめの収穫が始まった。成育のそろいが悪く、刈り時の見極めが難しい。関東各県では、どこも一週間から十日遅れで、今後の天候が期待される。減収はやむをえないが、まあまあの出来。今年は冷害だが来年再来年にルートをつないでいこうと、広く呼びかけていきたい」。

 北陸ネットワークの新潟の生産者も稲穂をもって登場。「それぞれ県ごとに田んぼ便りや産直情報など情報を流して、顔の見える米作りをめざしている。成育は一週間から二週間遅れと言われているが地域によってバラツキがある。刈り取りが大幅に遅れそうだが、高温障害もなく、今後の天候次第では良質米が期待できそう」。

 無農薬栽培米をこだわり米として出荷している石川の牧田孝允さんは「お米に手紙をつけて出荷したところ、お米屋さんから手紙が届き、非常に感動した。田んぼのありのままの姿を消費者にもっともっと知ってもらいたい」と発言しました。

 消費者の目を米屋の方に

 米屋さんからも率直な意見が相次ぎました。「不作を見込んで、量販店や大手卸などが十四年産米まで買い占め始めており、中小の米屋に米が入らない事態がすすんでいる」と言います。「今後の米の出来はどうなる、減収したら価格も高くなるのか、米屋としてはぜひ知りたい」と切実な声も。「農民連の準産直、消費者から信頼される米屋にしていくうえで、大事なポイントになってくる。この冷害を機会に、消費者の目をスーパーから米屋に向けさせたい。この交流会でぜひ農家と本音で語りあいたい」などの期待の声もあがりました。

 また「昨年群馬のゴロピカリを扱ったが、とても良かった。ぜひ単品で売りたいので、産地ごとの五キロ袋を百枚くらいずつ斡旋してほしい」といった要望も上がり、さっそく取り組まれることになりました。

 第二部の懇親会では、地酒やハム、祭り寿司、漬物、果物など農民連の農作物に舌鼓をうちながら、熱心な交流が続きました。


がんばって作っている人お客さんの評判よかった

 滝瀬商店(日野市)滝瀬正幸さん 何種類もの農民連の米を玄米で売り、その場で精米している。米と一緒に情報も伝えており、生産者の栽培方法だとか、田んぼの生き物や環境を、お客さんに語るためにはコミュニケーションが必要。それを個々でなく、組織同士でできるシステムがほしい。それをメリットとして活用したい。

 熊本のお米と一緒に届いた手紙には、お礼とともに川辺川のことが書かれていて、本当に人間的だと、頑張ってお米を作っている人がいるんだと感じた。お客さんの評判も良かった。

 東京都米穀商業組合文京支部支部長で渡辺米店の渡辺弘さん 情報交換ができるこういう会があるのはいいことだ。どこかが音頭をとらないと、なかなかできない。毎年続けていくことで役立っていくと思う。米改革については、今年のような不作の場合、大資本の買い占めになり、安定供給ができなくなる。顔が見えて、本質的に信頼しあえる関係が必要だ。

(新聞「農民」2003.9.8付)
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2003年9月

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