「農民」記事データベース20030901-600-12

旬の味


 福島県の作況指数「86」著しい不良―まさに寒さの夏はオロオロするしかない。田んぼを見回ると稲の葉の所々に菱形のいもち病の病斑が見える。稲を抜きとって、頼りなげな幼穂を手のひらにのせてみる▼「がんばれよ。もう少しだ。きっとお天道様は見捨てないから」とあてにならない言葉しか出てこない自分が情けなくなる。今日の空も曇天▼日本人の主食・米が「凶作」だといっても、切迫感がないのはどうしてだろうか。十年前の「パニック」を日本人は忘れたのだろうか。農民にとって一番怖ろしいのは、「凶作」でも米が間に合ってしまい、政治的に作られる「減反という狂作」が常態化することだ▼気候の変化にオロオロすることもなく、食糧が手に入ることは異常だと気づく人が何人いるだろうか▼アメリカ・カナダの大停電で暗闇のなかを群れをなして歩く人々。熱波で何千人もの人々が命を落とすヨーロッパ。取り返しのつかない事態の前にオロオロする人間の弱さこそ強さなのかもしれない。私たちはまた試される。

(本)

(新聞「農民」2003.9.1付)
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2003年9月

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