「農民」記事データベース20030901-600-01

関西で初 安心・安全なお米

米屋さんと生産者をつなぐ交流会

産地丸ごと届けたい安定した価格でお客さんに

 「生産者が一生懸命作ったお米を、納得できる価格で売りたい」――農民連が八月十日に大阪市内で開いた「お米屋さんと生産者をつなぐ交流会」にはそんな思いを持ったお米屋さんが大勢参加しました。 


お互いの情報じかに交換

 評価が正しく伝わるルート

 初めて関西で行われたこの交流会には大阪、京都、奈良、兵庫、和歌山の米屋さん五十四人のほか、三十道府県から生産者九十七人、消費者や関係者、マスコミなど合計百六十五人、予想を上回る参加者で会場がいっぱいになり大盛況でした。

  「関西で初めて、作った者の心と、売る者の心、買う者の心を一堂に介して意見交換できた。お米を流すだけでなく、文化や心も届けたい。従来の販売と違い、生産したものに対する消費者の評価が、正しく伝わるルートができた」と、四十ヘクタールで米、麦、大豆を生産している滋賀県農民連副会長の田口源太郎さん。

 一方の米屋さんも「一番直結している現地の生の報告は、自分で何県も見に行けないので参考になる。会場に来たことで農民の熱意を生で感じることができた」と話します。

 自給率向上へ手をつないで

 交流会では最初に農民連の佐々木健三会長があいさつ。「米改革は、農民に米を作らせないで輸入し、お米屋さんには大型スーパーなどとの競争を激化させるもの。輸入や減反に負けないで、国民の求める安心・安全のお米を届ける運動を模索し、お米屋さんの期待に応えたい。大雨、地震などで大きな被害があり、低温の影響も心配だが、主食である米をしっかりと供給したい」と訴えました。

 来賓の大阪食農府民会議事務局長の若松清晴さんも「米改革では水田や故郷がなくなる。輸送エネルギーや水などの環境面からも自給率の向上が必要だ。そのためにも生産者、流通業者、消費者が手をつなごう」と呼びかけました。

 続いて近畿、東北・北海道、中国、関東、北陸、九州などの各ブロックネットの代表者が、品種や栽培方法、今年の作柄などについて報告。合わせて「大阪では稲刈り、トウモロコシ刈りのほか、冬瓜の料理講習会などで消費者と交流している」(近畿)、「福島では誰がいつどんな資材を使ったか、インターネットで公表できることを柱にしたい」(東北・北海道)、「低米価で後継者もいない状況だが、お米屋さんへの出荷を通じて生産者が元気づいている」(関東)、「石川では農薬を減らす県の認証制度に申請。流通でがんばるお米屋さんと手を携えたい」(北陸)、「お米屋さんを通じて消費者に販売する準産直は今年からスタートだが、近畿は九州出身者が多いので、なつかしの味でがんばりたい」(九州)などと思いを語り、産地のお米をPRしました。

 心と心とのふれあい大事

 交流会ではお米屋さんも発言。「報道で不作があおられ、入札価格がとてつもなく上がっている。安定した価格で良いものを消費者に届けたいので、収穫までの残りの期間がんばって作ってほしい」(奈良県のISK(株)の岩井克彰さん)。昨年から大阪で農民連との協力をすすめているお米屋さんのグループ「あすなろの会」会長で、米安米穀店の蔵井謙一さんは、「地域に密着し、米のことを良く知っているのがお米屋さん。間にお米屋さんが入ることで消費者の選択の幅も広がる。お客さんとの交流は、稲刈りなどの農作業とともに人と人とのふれあいが大事」と呼びかけました。

 会場では、初めて対面する米屋さんと生産者がそれぞれ直接意見交換し、熱心に話し合いました。

 「購入したい」話が舞い込み

 「昨年から飲酒運転の罰則強化で、酒米のアケボノが売れなくなっている」と報告した岡山県農民連の坪井さんのもとには、「アケボノを購入したい」との話が舞い込みました。農協はヒノヒカリに切り替えるよう指導しているものの、飯米にも向き、作りやすく収量が安定した品種のため、坪井さんはお米屋さんなどを通じた販売ルートに期待しています。

 まとめで、中津孝司産直運動全国協議会代表役員は、百人の目標に一・六五倍の参加で大成功したことを報告。「秋には収穫祭に取り組みませんか」と呼びかけ、参加した米屋さんは「次回もぜひ参加したい」と話していました。

(新聞「農民」2003.9.1付)
ライン

2003年9月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2003, 農民運動全国連合会