「農民」記事データベース20030825-599-11

旬の味


 北海道は盆を過ぎると秋の気配が感じられる。夜温が下がり空気も澄み切ってくる。こんな時期になると農家は収穫の期待に胸を膨らませながら秋の準備に取りかかる▼しかし、今年は重苦しい雰囲気が漂っている。稲の穂と花粉を作る大事な時期である七月の気温が十年前の大冷害を下回り、私の住んでいる岩見沢地方は観測史上最低を記録した。稲への影響が心配だ▼影響は農作物全般に及んでいる。わが家のスイートコーンは二週間も遅れている。トマトもなかなか赤くならない。順調に見えるのは冷害に強いタマネギぐらいだ▼思い出すのは米パニックを引き起こした大冷害。刈っても刈っても籾がたまらず、コンバインの底に穴が空いているのではと何度コンバインから降りて覗いてみたことか▼米パニックの教訓を生かさず、在庫減らしと生産抑制しか頭にない政府の対応が、いかに農業の特性を無視しているかを、稲が告発しているようにも思える。机上の数字だけで組み立てられている「米改革」は、始まる前から破たん必至だ。

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(新聞「農民」2003.8.25付)
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2003年8月

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