「農民」記事データベース20030811-598-17

旬の味


 自家採種のこぼれ種子サミットに参加した。かねてより思っていたことだが、野菜の種子は圧倒的にアメリカ産で消毒済みになっている。同国の農薬会社が開発した遺伝子組み換え作物が日本の食卓を占拠し、一度栽培した種子を再び発芽させないターミネーター種子まで出現した。人の命よりも、もうけ第一主義だ▼食料不足が確実といわれる今世紀、種子までも奪われていいのだろうか。スーパーに並ぶ野菜の品種や規格や味が同一でおもしろくないと感じていた。幼い頃、畑で丸かじりしたいびつだが濃い味のトマトが忘れられない。独自の味を持ち、その地方の風土に合い、食文化をつくってきた在来種の野菜を守り、後世に伝えていく。種子は未知の可能性を秘めている。すばらしいロマンのあることではないか▼会場では種子を交換し、栽培方法や食べ方を教え合った。種子をサヤから落とすことを「あやす」という。子どもをあやすことと共通する。いろんな風を利用しながらあやしていく。農村ならではのいい風景が浮かんでくる。

(長)

(新聞「農民」2003.8.11付)
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2003年8月

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