「農民」記事データベース20030811-598-15

特別栽培農産物に関わる表示ガイドライン改定について(2)


 【表示の中身】

 特別栽培農産物では、図1のように、使用した農薬の成分の名称、用途、回数と、化学肥料については、元肥と追肥で、化学肥料の窒素成分で何キロ使ったのかをすべて表示します。特別防除資材(近所の天敵・酢・重曹)のみを使用して栽培している場合は、栽培期間中不使用という表示をすることになります(図2参照)。しかし商品に農薬の成分名を表示しただけで、購入する際の判断になるでしょうか。消費者が分かりやすい表示が求められます。

図1 (一括表示の枠外に記載)
化学合成資材の使用状況
使用資材名
用途
回数・量
○○○○○
□□□□□
△△△△△
 
▽▽▽▽▽
◇◇◇◇◇
殺菌
殺虫
除草
 
元肥
追肥
1回
2回
1回
 
窒素 4kg/10a
窒素 1kg/10a
 
図2 (一括表示の例)
農林水産省新ガイドラインによる表示

特別栽培米
化学合成農薬:○○地域比○割減(使用回数)
                 (△△使用)
  化学肥料:栽培期間中不使用
 
栽培責任者 ○○○○
  住 所 ○○県○○町△△△
  連絡先 TEL □□−□□−□□
確認責任者 △△△△
  住 所 ○○県○○町◇◇◇
  連絡先 TEL □□−□□−▽▽
精米確認者 ◇◇◇◇
  住 所 △△県△△町▽▽▽
  連絡先 TEL ○○−○○−□□

注:△△は性フェロモン剤等誘引剤の商品名ではなく、主成分を示す一般 的名称とする。

 【根拠が必要】

 ガイドラインに沿って表示するには、使った結果を明確に公開できる資料を生産者が三つ用意することが必要です。一つは「特別栽培」の栽培計画。それから計画に対して実際の「栽培管理記録」。生産者は、これらの資料を栽培確認者に提出します。加えて、どこにどのくらい売ったのかという「出荷の記録」です。お米についてはさらに「精米の管理記録」が必要です。永年作物については、栽培期間を一年で区切って、書類や記録を残すことになっています。

 そして特別栽培を行っている田畑・園地には、それを明示する看板を立てることが必要です。

 そもそもこの表示は、生産者ごと、それぞれの田畑ごとに書き分けることが大前提となっています。畑ごとの記録の内容を、パックや店頭のコーナーに公開して初めて「ガイドライン表示」を名乗ることができるのです。産地がこれら三つの資料を畑ごとに対応させるには、膨大な作業が新たに必要になります。

 【インターネット表示について】

 今回のガイドラインでは、インターネットを使用した情報提供も可能とされていますが、農薬・化学肥料の使用状況の中身を、購入時に店頭で確認できなければならないとしています。ですからインターネット上で公開する場合は、店舗に端末機が備えられていなければ認められないというのです。

 農民連・産直協ではこれらの問題で七月二十三日に農水省交渉を行い、制度の改善を求めてきました。消費者に分かりやすく、農家が安心して栽培ができる制度にするために各地で市町村、都道府県、また農水省への要請を繰り広げることが大切になっています。

(つづく)

(新聞「農民」2003.8.11付)
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2003年8月

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