北日本・東日本の低温、日照不足稲作への被害が心配
北日本や東日本各地で六月下旬から七月中の低温と日照不足による稲への影響が心配されています。とくに低温の影響が大きい太平洋側の青森、岩手、宮城、福島の各県の関係機関は七月二十二日までに対策本部などを設置。臨時農業情報を出したり、深水管理の徹底を呼びかけるなど対応にあたっています。十六日には農水省が稲の追肥の適正化や病害虫防除など、低温と日照不足への対策をとるよう各地方農政局に通達を出し、二十九日には十年ぶりに対策本部を設置しました。低温や日照不足による影響は稲だけでなく野菜や果樹にも及んでおり今後の影響が心配です。 七月から八月にかけては稲の幼穂形成期にあたるため、一七度以下の低温が続けばもみの不稔障害を引き起こす危険性があります。七月十五日現在の農水省の作況は、草丈など見た目の生育で判断するため平年並み(北海道、青森、岩手)、やや不良(宮城、福島)となっていますが、七月の低温による不稔障害の実態がわかるのはこれからです。 北海道美唄市の井上耕太郎さんは「七月上旬には一〇度の時もあった。対策は深水管理くらいのため、九三年の冷害のようにならないことを願っている。低温による不稔障害がどの程度かは、お盆くらいにわかるかどうか」といいます。北海道岩見沢測候所の観測データでは、七月一日からの二十日間で一五度以下の合計が百九十八時間、一三・五度以下の合計が九十二時間にもなっており、大冷害となった九三年(それぞれ百九時間、五十六時間)と比べても長くなっています。 青森県森田村の葛西拓美さんは「例年なら田植え時二週間の差が一週間に縮むが、今年は縮まらない。出穂は八月六日〜二十日の期間になる見込み。ここ二日間(七月二十七〜二十八日)は、最高が二四〜二六度と暖かいものの夜と早朝が一三度台で、障害型冷害が心配」。青森県は七月八日、臨時農業情報を出してヤマセによる低温と日照不足の対策の徹底を呼びかけています。 宮城県鹿島台町の鈴木弥弘さんは「生育は十〜十五日遅れており、まだ十日間くらいは深水管理が必要。昨日(八月一日)から天気は回復したが急な晴天による病気が心配。低温不稔の影響もわかるのはこれから。震災地域では家屋の対策で田んぼは自然任せの状況で用水施設の被害も出ている」と言います。
(新聞「農民」2003.8.11付)
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[2003年8月]
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