旬の味
毎日空を見上げて宮沢賢治の詩を思い出す。「淫らなおまえら雨雲(ニムブス)族は西の河谷を覆って去らず/日照ために常位を欠けば…今期稲作は憂慮なくして観るを得ず/…あやしくやわらかな雨雲よ…しかればじつに小官は…満腔不満の一瞥を…お前に与え…」(「県技師の雲に対するステートメント」)▼毎日どんよりと曇。七月に入って一日通した晴天はない。小麦の刈取りも脱穀もねこ干しも唐箕選も、皆僅かな日差しに頼ってのこと。モロコシのアワノメイガの防除も終わって二時間も経てばまた降る▼稲の幼穂形成期も一週間は遅れた。私の水田は花粉母細胞の減数分裂期に入ったようだ。楽農クラブからは「急告!深水に(二〇センチ)」というファクスが入る。いつオホーツク海の冷たい高気圧が南下するか分からない。九三年の大冷害を思い出す。あれから外米が大きな顔をして入ってきたのだった▼天に祈り、米改革の政治とたたかって「べんぶ(抃舞)してもべんぶしても足りない」(「和風は河谷いっぱいに吹く」)豊作の秋を迎えたいものだ。 (節)
(新聞「農民」2003.8.4付)
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[2003年8月]
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