カナダからの警告遺伝子組み換え作物が日本で作付されたら…(下)シュマイザーさんの講演
破綻したGMの効用、 増えるスーパー雑草カナダでは、一九九六年に政府がGM作物の栽培を認可した時、モンサントは(1)収量が増える(2)栄養価が高い(3)農薬の使用量が減ると三つの効果を宣伝しました。 しかし、二〜三年後に起きたのは、(1)収量は低下、(2)品質も低下(ナタネでは酸の含有量が増えた)、(3)除草剤の効かないスーパー雑草の発生で農薬の使用量は三倍に増えた、ことです。 なぜスーパー雑草がはびこったか。カナダではモンサントだけでなく、他社も除草剤耐性ナタネの種子を販売しています。そのためこの二〜三年の間に自然交配で複数の除草剤耐性遺伝子が入り込んだスーパー雑草ができあがってしまい、少なくとも三種類の除草剤を使わなくてはならなくなっているのです。 こうしたスーパー雑草は、ナタネ畑だけでなく、小麦、大麦などの他の作物の畑にも入り込み、カナダの中西部全体に広がっていると言います。
GM反対、 モンサント追及の運動広がるところでシュマイザーさんの裁判は、九九年の一審と〇二年の控訴審で敗訴。最高裁に持ち込まれ、二〇〇四年の一月から審議が始まります。 「この最高裁の審議は非常に重要で、生命の特許の問題、とくに環境に放出されればコントロールできないようなGM遺伝子に特許権を与えることができるのかが審議される予定。一つ注目されるのは、昨年十二月に最高裁が他の裁判で、高等生物には生命特許を認めない判決を出していることです」とシュマイザーさんは語っています。 またカナダでは、農務省がモンサントから助成金をもらい、GMの作付けを認可するなど癒着問題が追及され、モンサントはカナダでGMカノーラの特許権を失う可能性もあると言われます。 さらにGM作物には、カナダ農民連合が一貫して反対の姿勢を貫き、コムギ生産者組合もコムギのGM認可に反対しています。モンサントに対する有機農家の集団訴訟も起きています。 モンサントの無法な食料支配と対決したシュマイザーさんの私財を投げうった果敢なたたかいは、世界的に支援に輪が広がり、これまでにシュマイザーさんが回った国は四十一カ国にも上っています。 (塚平広志)
(新聞「農民」2003.8.4付)
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[2003年8月]
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