「農民」記事データベース20030804-597-02

農民のリストラでは再生できぬ

農民連・食健連 農水省と交渉


 農水省と自民党が米改革関連予算の大枠を決める話し合いを行っているまっただなかの七月二十三日、農民連と食健連は米改革と冷害対策、農薬問題などで農水省交渉を行いました。

 交渉では、米改革を撤回し、国民の主食・米に政府が責任を持つとともに、農民が安心して生産できる真の米政策の確立や、自給率向上の抜本策を要求。同時に、検討中の米改革関連予算を明らかにし、十分な予算を確保することなどを求めました。

 とくに、(1)産地作り交付金は転作した全農家に差別なく交付すること、(2)米価下落影響緩和対策は現行の稲経を下回らない水準とすること、(3)一俵三千円で検討されている過剰米融資制度を中止し、ゆとりある備蓄で生産費を償う価格で買い入れること、(4)担い手経営安定対策の基準を緩和し、政府負担を増やすことを求めました。

 農民連の佐々木健三会長は、米改革の具体化が進んでいる岩手県で行った現地調査の内容を紹介。「具体化が進むなかで農家から批判と失望の声があがっており、自治体やJAの職員は大変な苦労を強いられている。農水省が考える以上に農民の反発は大きい」と指摘するとともに、従来の米関連予算を減額することなく十分な助成額を確保するよう強く求めました。

 これに対して農水省の担当者は、「助成水準は農水省全体の予算が決まらないと答えられない」などと答弁。地域の実行組合長として稲と麦・大豆のブロックローテーションを行う宮城農民連の鈴木弥弘さんは、「どこからいくらの減反が配分され、農家にいくらくるのかわからなければ計画の立てようがない。予算が削減されれば、麦・大豆転作の受け手がいなくなる」と訴えました。

 交渉では、北海道や東北で深刻化している低温と日照不足による稲の冷害対策を緊急要請。北海道・東北、北関東などを中心に、農家への気象データの公表と冷害対策のための対応を徹底し、九三年の米パニックの再来を繰り返さないために需給計画を見直して、可能なあらゆる増産対策を講ずるよう申し入れました。

 また、農薬取締法改定で、生産量の少ない農産物の登録農薬が少なく、農家が登録しようとすれば、数百万円もかかる問題を指摘し、国による農家への負担軽減策を求めました。

(新聞「農民」2003.8.4付)
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2003年8月

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