携帯電話使って栽培履歴を伝え心(農民)と心(消費者)の交流を求めて北海道・小清水産直センター「種まく農家の姿を、食べてくれる消費者に」――北海道・小清水産直センターは今年六月、農産物の栽培履歴を公表するシステムを導入しました。大手食品企業の偽装表示で全国的に脚光を浴びるようになった「食のトレーサビリティ」。しかし、産直センターのは、農家と消費者の心の交流を取り戻したいという思いから。携帯電話を使ったシステムとともに注目されています。
「七月になると、じゃが芋の花が咲き始め、小麦も黄金色に色づき始めます。野菜たちも、意外にきれいっていうか、可憐な花を咲かせるのをご存知ですか」と、やさしく語りかける産直センターのホームページ(http://www.vegeta.jp/)。栽培履歴はここから誰でも簡単に見ることができます。バレイショ、アスパラ、タマネギ、ニンジン……品目ごと、生産者ごとにプロフィールやレシピもそえて、種まきから植えつけ、肥培管理、収穫まで、いつ、どんな作業をしたのか、写真入りで紹介しています。 「きっかけは〇一年…」と坂本清一事務局長。この年、野菜の輸入が急増し、市況は低迷、産直センターはタマネギ、ジャガイモを一部廃棄せざるをえませんでした。 「目の前が真っ暗になった。これから何を支えにやっていったらいいのかと」。産直センターはくり返し議論し、出した結論が「産直を始めた原点に返ろう」でした。 「いつの間にか僕たちが見ていたのはバイヤーだったり、中卸だったりで、食べる人、料理する人、その食卓をイメージすることを忘れていたことに気づいたんです」。だったら自分たちの姿もちゃんと消費者に伝えなければと、栽培履歴を公表することにしました。 試行錯誤でたどりついた方法が、最近、普及が始まったカメラ付き携帯電話を使うこと。畑でやった仕事を、その場で撮ってメールを送ると「作業データ」に登録される手軽さ。それが、産直センターの導入したトレーサビリティシステム「畑のとれさぶろう」です。 同時に「畑のとれさぶろう」は、消費者も、品物についているバーコードを携帯電話で撮影することで、簡単に栽培履歴にアクセスできます。「農家も消費者も簡単に使えることで、お互いがより身近になる」と、坂本さんは期待しています。
(新聞「農民」2003.7.28付)
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[2003年7月]
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