「農民」記事データベース20030707-593-20

旬の味


 佐久では今年の梅雨は曇天続きであまり降らない。スーパースイート・きぼうも生育が遅れるだろうと高をくくっていたが、三日ほどの間に分げつが二十センチも伸びるのを見て、意外に高温なのを知った▼「幼穂形成期に追肥を」などといっても田のようにすぐには効かない。それどころか、四方を高い山に囲まれて、雨は都合よくは降ってくれない。「浅間夕立は音ばかり」と群馬の黒い空を恨めしく眺めるのだ。「蟻一疋どち見ても炎天」(一石路)の真夏になって、モロコシの房の先端が二、三センチ実らなかったり、皮が被さらないで鳥につつかれてしまう▼だから、どうせ天気予報なんかあてにならないし、降ってくれる時はもう遅いし、早いところマルチを剥いで追肥をやるに限る▼やれやれこれでいつ雨が降っても追肥は効くぞ、と思う間もなく、ネギの根際に小さな草が芽を出す。これは指先で抜くしかない▼爪の先のドロはなかなか落ちない。じっと見る。目を上げると雲の切れ間に夕日がある。「西瓜のようなおもたい落日がある」(一石路)

(節)

(新聞「農民」2003.7.7付)
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2003年7月

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