松尾佐知子のやっぱりごはん(月2回掲載)
我が家の狭い階段のすみっこに置いてある味噌瓶から、いい香りがしてきた。昨年の暮れに仕込んだものがそろそろ食べごろに。自分で作った味噌は、どうしてこんなにもいとおしく、おいしいのか、手前味噌って本当だと実感。 大豆トラスト運動のおかげで味噌作りが始まり、毎年作る量が増え、瓶が増え続けていく。日本の食文化の柱“米と大豆”。米に少ない必須アミノ酸のリジンを補うのが大豆。栄養学などなかった時代なのに、先人たちの生活の知恵はただただ感嘆するのみ。 さあ夏本番!。まずこの味噌で作るのが冷や汁。日本各地で作られているが、我が家はもっぱらスーパーの値引き品のアジの干物で作る。身をほぐして、味噌とすりごまといっしょにフードプロセッサでピューン。氷水で溶いて薬味を入れてごはんにかける。食欲のない時でも、サラサラとつい食べすぎてしまうほどだ。うどんやそうめんのつけ汁にしてもいいし、あつあつもこれまたいける。ただし薬味はたっぷり用意したい。きゅうりのシャキシャキ、豆腐のツルン、みょうがや大葉の香りが五感を刺激する。我が家は多めに作り、一人分ずつダンゴに丸め、密閉容器に保存している。夫はトースターで焼いてから熱湯で溶き、氷を入れている。 さてさて手前味噌…「できたらあげるね」と何人に言ったことか。いやあげるより、手前味噌を作る幸福を多くの人に分けてあげよう。
イラスト・松尾友子
手前味噌でしあわせ感じる冷や汁
(新聞「農民」2003.7.7付)
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[2003年7月]
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