「農民」記事データベース20030707-593-19

松尾佐知子の

やっぱりごはん

(月2回掲載)


 我が家の狭い階段のすみっこに置いてある味噌瓶から、いい香りがしてきた。昨年の暮れに仕込んだものがそろそろ食べごろに。自分で作った味噌は、どうしてこんなにもいとおしく、おいしいのか、手前味噌って本当だと実感。

 大豆トラスト運動のおかげで味噌作りが始まり、毎年作る量が増え、瓶が増え続けていく。日本の食文化の柱“米と大豆”。米に少ない必須アミノ酸のリジンを補うのが大豆。栄養学などなかった時代なのに、先人たちの生活の知恵はただただ感嘆するのみ。

 さあ夏本番!。まずこの味噌で作るのが冷や汁。日本各地で作られているが、我が家はもっぱらスーパーの値引き品のアジの干物で作る。身をほぐして、味噌とすりごまといっしょにフードプロセッサでピューン。氷水で溶いて薬味を入れてごはんにかける。食欲のない時でも、サラサラとつい食べすぎてしまうほどだ。うどんやそうめんのつけ汁にしてもいいし、あつあつもこれまたいける。ただし薬味はたっぷり用意したい。きゅうりのシャキシャキ、豆腐のツルン、みょうがや大葉の香りが五感を刺激する。我が家は多めに作り、一人分ずつダンゴに丸め、密閉容器に保存している。夫はトースターで焼いてから熱湯で溶き、氷を入れている。

 さてさて手前味噌…「できたらあげるね」と何人に言ったことか。いやあげるより、手前味噌を作る幸福を多くの人に分けてあげよう。

イラスト・松尾友子


手前味噌でしあわせ感じる

冷や汁

<材料・4人分>
 アジの干物 2枚→焼いて骨と皮をとりのぞく
 味噌       (アジの正味と同量)
 すりごま     (   〃    )

<作り方>
 (1)すりばちでよくスル。(フードプロセッサでもいい)
 (2)氷水500ccを入れ、味をみる。(少しこいめ)
 (3)ごはんにかける。

★薬味
 きゅうり  1本→うすく小口切り
 豆腐    1丁→スプーンですくう
 みょうが  3ケ→せんぎり
 大葉    5枚→せんぎり
 青葱    少々→小口切り

★なすとピーマンと豚肉の味噌炒め、
 いんげんの天ぷらのおかずがいいかな…

(新聞「農民」2003.7.7付)
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2003年7月

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