消費税800万円強戻る農民組合の協力で酪農家
北海道白糠牛舎建設費全額を対象に簡易方式から原則計算に切り替え消費税の課税免税点が、これまでの三千万円から一千万円に引き下げられることになりました。酪農畜産農家のほとんどが消費税申告の対象になることから、多くの組合員が不安にかられています。白糠町農民組合は、税金を中心とした取り組みで町内の農家の九割強が加入しています。今年は十人の組合員が消費税を申告しました。 白糠町の経営規模は北海道の中でも小さい方ですが、「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」でふん尿処理施設などを来年十月までに作らなければならなくなりました。こうしたなかで消費税対象の酪農畜産農家と相談し、簡易方式から原則計算に切り替え、施設・機械の導入にあたって農協と連絡してとりくんできました。 その結果、今年はフリーストール牛舎を導入した酪農家が八百万円強の還付を受けることができました。国の半額補助事業であることから「自己負担分の消費税しか対象にならない」などの税務署からの横やりもありました。しかし、総事業費に相当する分の消費税はすべて対象にさせることができました。還付を受けた組合員は「全額還付されて助かった。二年分ぐらいの償還額になる」と喜んでいます。 現在、農民組合に加入している酪農畜産農家は九十一戸で、平成十四年分の所得税の内容から計算しますと、平成十七年から六十六戸の組合員が消費税申告の対象になります。実に三・六倍にも増えます。 酪農家の売り上げの中心は牛乳ですが、内税方式にされていることから、対象農家にとっては大増税となります。農民組合では、消費税対策が重大な課題として、対策を進めています。 (白糠町農民組合委員長 芳澤 浩一)
堆肥舎に高い税 納得できぬ審査請求の酪農家 群馬県知事に申し入れ堆肥舎に不動産取得税を不当に課税された酪農家が審査請求した問題で、群馬県は現地調査を行い、「弁明は終わった」と結論を出そうとしています。群馬農民連の山村隆さんは六月十日、知事に「なんら具体的な回答はなく、このまま結論を出されるのでは納得できない」と申し入れました。申し入れには、農民連の住谷輝彦さん(畜全協会長)ら三人と日本共産党の早川昌枝県議が立ち会いました。県側は八木税務課長と明石税務専門官が応対しました。 浅間山北麓・長野原町の北軽井沢で酪農を行っている山村さんは、昨年三月に農水省の補助事業で堆肥舎を作りました。屋根と柱、一辺の塀があるだけなのに、家屋と認定されたために昨年十月に審査請求をしました。 群馬農民連は、「山村さんの堆肥舎に対して県は“通常家屋とはいえない”としながらも、何と比較したのか、具体的な根拠もなしに“他との均衡上家屋とみなした”という不当な理由で課税してきた。家畜排泄物処理法で堆肥舎の建設を余儀なくされている畜産農家に大きな影響を与える」とこのたたかいを支援しています。 山村さんは「行政事務所の弁明は、あまりにも不親切で冷たい。税金を払わないというのではない。なぜ家屋と判断したのか納得できる答えがほしい」と訴えました。 税務課長は「今回の問題は、家畜排泄物処理法にもとづいてまじめにとりくんだ結果、起きたものであり、山村さんのいわんとすることは承知している」として「堆肥舎を課税客体とは見ていないし、家屋にあたるかどうかはきちんと比較し、不満のないよう対処したいと思っているので、信頼してほしい」と前向きな回答をしました。 また、山村さんたちは「農政と税務の『すり合わせ』が不足していて、判断に食い違いがある。建設してから『課税するぞ』と言われても困る。農政部と協議して“基準”を作ってほしい」と要請。税務課長は「至急にとりくむ」と約束しました。 (群馬県連 目黒奈美子)
(新聞「農民」2003.6.30付)
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[2003年6月]
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