危ない輸入牛肉を 私たちに食べさせるな国産牛肉のみ対象のトレーサビリティ法案成立
輸入牛肉も表示させよ「輸入牛肉にもトレーサビリティの表示義務を」――六月三日の参院農水委員会で、輸入牛肉にも表示を義務づける野党の修正案が、自民、公明など与党の反対で否決されました。表示義務を国産牛肉にしぼった政府案が賛成多数で可決、四日の本会議で成立しました。これを受けて、民主、自由、共産、社民の野党四党は、輸入牛肉にトレーサビリティの表示を義務づける新法を、国会に提出する構えです。
65%を占める輸入牛肉は除外牛肉のトレーサビリティは、BSE問題で高まった牛肉への不安を解消するために、牛の飼育や処理の過程を消費者にもわかるようにしようというもの。国内のすべての牛に耳標を付けて、店頭に並ぶ国産牛肉には、これと符合するバーコードが表示されます(ミンチなどは対象外)。 一方、流通量の六五%を占める輸入牛肉には、何ら表示義務がありません。野党案は、トレーサビリティの実施の有無を輸入牛肉に表示させ、消費者が選択できるようにしようというものでした。 ところが政府・与党は野党の修正要求を、「輸出国から貿易障壁だと批判される」などとして拒否。食の安全を求める国民の願いを踏みにじって、輸出国への配慮を優先させました。
アメリカからの横ヤリに……この政府・与党の動きを後押ししたのは、年間三十万トンもの牛肉を日本に輸出しながら、トレーサビリティが徹底できていないアメリカ。アメリカ産牛肉に「トレーサビリティを行っていない」などと表示されればイメージ低下を招くという身勝手な理屈です。 ベーカー駐日大使が求めた亀井善之農水大臣との面会は、野党から「内政干渉だ」と批判されて見送られましたが、自民党農林族に圧力をかけて野党との修正協議をつぶしました。 こうしたアメリカの横暴と、それに屈した政府・与党が、国民の生命と健康を危うくすることは明らかです。アメリカは、BSEが発生したカナダから〇二年度に百六十八万頭もの生体の牛を輸入していますが、これが日本に輸出されないという保証はまったくありません。
輸入牛肉の危険政府も認める三日の参院農水委員会では、日本共産党の紙智子議員が、EUが指摘しているアメリカの牛追跡システムの欠陥を示し、「安全な牛肉しか輸入許可しない」ことを求めたのに対して、亀井農水相は「アメリカ産牛肉にカナダ産が含まれる可能性は否定できない」と認めました。 日本は、〇一年十月以降、食肉市場ですべての牛を検査し、安全な牛肉しか出回らない態勢をとっています。一方、アメリカは、一億頭いる牛のわずか〇・〇二%しかBSE検査を行っていないという指摘があります。輸入牛肉に表示を義務づけて、消費者が判断できるようにするとともに、危険な牛肉が輸入されないよう防疫体制を強化すべきです。
(新聞「農民」2003.6.16付)
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[2003年6月]
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