“主食・米は自国で”の理念ない食糧法改悪案に反対表明衆院農水委・参考人質疑坂口正明・食健連事務局長
“米が投機の対象になる恐れ”危険な中身を指摘「国民の主食・米を守れ」――五月二十七日、衆院農水委員会で食糧法改悪案の参考人質疑が行われ、全国食健連の坂口正明事務局長が意見陳述しました。坂口氏は「法案には、主食である米を自国でまかなうという理念がまったくない」と述べて反対する態度を表明しました。参考人は、坂口氏のほかに、生産調整研究会の座長を務めた生源寺真一・東大大学院教授、JA全中の宮田勇会長、北海道農民連盟の西原淳一書記長、米穀卸売業者の全国団体である全米販の野村昭理事長。参考人への質疑によって、米改革と、その具体化である食糧法改悪の危険な内容がますます明らかになりました。 食糧法改悪案は、米の需給と価格の安定に対する国の責任を放棄するもの。これに対して坂口氏は、国民の九一%が「外国産は買いたくない」と回答している世論調査の結果を紹介し、「九三年の“米パニック”の教訓は、日本人が食べる米は日本で作ること」と述べて、国が米の安定供給に責任を持つよう強く求めました。 さらに坂口氏は「米が投機の対象になる恐れがある」と、改悪案を批判。米の先物取引に道を開く改悪が法案に盛り込まれていることを指摘し、「一部の大企業に、国民の主食・米を握られるようなことがあってはならない」と述べました。 そのうえで、「まずはミニマム・アクセス米(MA米)の削減・廃止をめざすべきだ」と要求。自給率を引き上げるために、地産地消の推進や、農家の経営を守る思い切った予算措置をとるよう求めました。 一方、米改革の土台になった生産調整研究会報告をまとめた生源寺氏は、「米の位置づけは低くなっており、発想の転換が必要」と述べて、米の安定供給を放棄してもよいとの考えを示し、米価を市場原理にゆだねて、農民を淘汰する米改革を支持しました。 米改革は、現在約三百二十万戸の農家を、二〇一〇年に四十万戸の経営にしぼり込む“農民の大リストラ”をねらっています(「農業構造の展望」)。このことについて生源寺氏は、「率直に言ってかなり難しい」と述べる一方で、「経過期間のとりくみが大事」と発言。米価の暴落と転作奨励金の縮減・廃止、減反の数量配分などで、リストラを強力に推し進めることを求めました。 他の参考人も、「農業の構造改革を進める必要がある」(宮田氏)、「米の先物取引を急ぐよう要望する」(野村氏)などと述べて、基本的に食糧法改悪に賛成する立場を示しました。
(新聞「農民」2003.6.9付)
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[2003年6月]
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