川辺川利水訴訟 福岡高裁が判決“国の計画は違法”農民側勝訴政府は、事業推進の姿勢変えず
熊本・川辺川ダム建設にともなう農水省の利水事業に対し、「ダムの水はいらん」と農家が起こしていた川辺川利水訴訟の控訴審判決が五月十六日、福岡高等裁判所で言い渡されました。小林克己裁判長は、ダム利水に関する三つの国営川辺川土地改良事業のうち二つが「法で定めた農家の三分の二以上の同意を得られていない」として、国の計画を違法とする判決を下し、原告農民が完全勝訴しました。 これを受けて農水省は五月十九日、最高裁への上告断念と利水事業の凍結を表明。しかし、新たな事業計画を二年程度で作る考えも示し、土地改良事業に固執する態度をあらわにしています。 現在、ダムサイトの建設を残すだけとなっている川辺川ダム。この水を使う国営川辺川土地改良事業は、一九八三年に計画が発表され、農地かんがい、区画整理、農地造成を行う三千十ヘクタールに及ぶ大型事業としてスタートしました。 九四年に事業の縮小・変更が行われた時、「高額の水代を負担させられる」などとして対象農家が異議申し立てを行いましたが、農水相はこれを棄却。九六年に農民八百六十六人が事業の中止を求めて熊本地裁に提訴。裁判には、対象農家約四千人のうち二千五人(補助参加含む)が参加し、三分の二以上あるとされる同意署名の信憑性が争点となりました。 一審では、弁護士の面接調査で、同意署名が本人のものでないもの、死亡者の署名などが見つかりましたが、農民側敗訴の不当な判決が出ました。控訴審では署名改ざんも明らかになり、逆転勝訴となったものです。 この期に及んでも農水省が事業を推進しようとしていることにたいし、農民から怒りの声があがっています。
(新聞「農民」2003.6.2付)
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[2003年6月]
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