「農民」記事データベース20030602-588-02

税3万5000円もどる

固定資産税


宅地のまま課税 取られ過ぎ

農村でも「見落とし」多い

福島・浜通り農業を守る会

 都市近郊の営農と命のかかった固定資産税引き下げの運動とは違って、もともと農地に反当たり数百円から千円強程度の固定資産税しかかからない町村の農村地域。そのため固定資産税への農家の関心もあまり高くありません。しかし、多くの農家で共通の「見落とし」があるようです。

 五月十五日に開かれた福島県相馬郡鹿島町の浜通り農業を守る会支部学習会でのこと。一人の会員さんが持ってきた固定資産課税台帳(名寄帳)を調べてみると――。

 かつて養蚕小屋前の作業場として使用するために宅地に登記変更した土地が、現在ネギ畑になっているにもかかわらず、評価額が高い更地の宅地のまま課税されていました。

 そこで「これはおかしい」ということになり、さっそく現況地目で評価しなおすように「審査申出書」を作って、翌日、鹿島町役場に出向きました。そうしたところ、税務課職員が現地を確認してすぐに評価額を引き下げる手続きをとることになり、その結果、三万五千円の税額引き下げになりました。

 所得税の申告の際に名寄帳を地目・地番ごとに調べ、必要経費となる固定資産税額を計算している農家は別にして、かつて養蚕や畜産、シイタケなどの施設を伴う営農をやっていた農家では、このような単純な「見落とし」があるようです。

 他にも、住宅用地や農業用施設用地の造成費についても、役場に計算根拠を「照会」すればすぐに明らかになります。東京都二十三区内並みの評価額が上乗せされている可能性が高いので要注意です。浜通り農業を守る会では、これからも各支部の学習会で、固定資産税問題を取り組んでいきます。

(福島・浜通り農業を守る会 中井信也)


重い農地課税の解決を

松山市農業委、農民連、JAなど共催 農業者講座開く

愛媛・松山

 「よくわかる農業者講座」が五月二十日、松山市の市役所大会議室で開かれ、約百三十人が参加しました(写真〈写真はありません〉)。これは、〇三年度の税制改正で相続税と贈与税を一本化して扱う相続時清算課税制度が新設されたことに加え、地価の下落や農産物の価格低迷が続くなかで市街化区域の固定資産税が年々上昇し、農家負担が大きな問題になってきたことから開かれたもの。

 松山市農業委員会が主催し、農民組合愛媛県連、同松山地区協議会、JAえひめ中央、JA松山市、JA松山市堀江、市農村生活研究グループ連絡協議会、市青年農業者連絡協議会、市認定農業者協議会が共催して開きました。松山市の農業団体が協力して、固定資産税の問題などを解決していく方向を模索する動きとして注目されます。

 講座では、市農業委員会の白石研策会長が「農業、農村に閉塞感が広がるなかで、農地については地下水の保全、環境保護など多面的な機能という考えが定着しつつあり、農地問題は今日的な意義がある」とあいさつ。

 第一部では、「相続時清算課税制度と農地等の納税猶予制度について」と題して、税理士の香川竹二郎氏が講演。第二部では、農民組合愛媛県連の岡田厚美会長が「市街化区域の固定資産税問題」について報告しました。

 岡田氏は、小作料を上回る固定資産税を減免している和歌山市や、生産緑地の指定で市街化区域内の農地保全を進める福岡市の事例などを紹介しながら、固定資産税が標準小作料の二・八倍以上になっている松山市の実情と、その解消に向けて市としてふさわしい方策を共同して模索していくことの重要性を強調しました。

 (愛媛県農民連 大野政信)

(新聞「農民」2003.6.2付)
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2003年6月

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