松尾佐知子のやっぱりごはん(月2回掲載)
連休に故郷の香川県に帰った。いたる所にあるレンゲ畑が“減反政策”というので複雑な思いでながめた。今年は寒かったのか空豆の実入りが遅い。せっかくひすい色の新豆でいろんな料理を作ろうと思ったのに。 それでも隣のおっちゃんの畑からまだまだ小さい豆を採ってきて、香川に古くから伝わる春祝の押し抜き寿司を作ってみた。本来は鯖の酢じめで作るそうだが、できたシメ鯖で代用した。型抜きもないので重箱にラップをしいて酢飯を重ね、その上に卵焼き、空豆、シメ鯖、えび、木の芽を美しく飾り、押して押してできあがり。ラップごと重箱から出し食べやすい大きさに切る。押さえがあまいと上手に切れない。 寿司文化は実に豊かである。その土地でとれるものを使うので、地方によって特徴がありおもしろい。せまい香川でさえ、押し抜き、ごんごずし、硬ずし、バラ寿司などがあるのだから全国ではいったいどのくらいの種類があるのだろう。 私がぜひ作ってみたいのは熊本のときずし。時の魚を三枚におろして酢でしめ、アラを甘辛く煮た汁でごはんを炊き、酢飯にして寿司を作るという。材料を生かしきる心は本当にすごいと思う。いつか全国の寿司祭りをやってみたい。でもみんなきっと「自分の土地のが一番おいしーい」っていうにちがいない。
香川県に古くから伝わる押し抜き寿司〈材料4人分〉・寿司米 米 5カップ こんぶ 少々 酢 100cc さとう 80〜100g (ちょっと甘め) 塩 20g ・具 干ししいたけ 人参 かんぴょう ごぼう 油あげなどを甘辛く煮る。 汁気はきっておく。 ・上飾り 卵 2 ヶ → うす焼きにし、三角に切る。 えび → ゆでて酢につけておく。 空豆 → 塩ゆでして、うす皮をむく。 木の芽 酢じめにした魚 → 一口に切る。
(新聞「農民」2003.5.26付)
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[2003年5月]
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