“中身ふれずゴマカシ答弁に頭に来た、危険性を広め、必ず廃案にするぞ”
有事法案衆院本会議傍聴記海外での武力行使に道を開く有事関連三法案が五月十五日、午後一時から開かれた衆議院本会議で強行採決されました。与党を代表して自民党の中谷元氏、民主党の大島敦氏、自由党の樋高剛氏が賛成討論。日本共産党の木島日出夫氏、社民党の今川正美氏が反対討論を行いました。二時から他の委員会の開催を決めたうえで、わずか一時間ばかりの本会議。与党は法案の中身には触れずに形ばかりの討論を行い、採択を強行しました。私はこの一カ月あまりに四回の委員会を傍聴し、法案の重大な問題点や政府与党のごまかしの答弁を目のあたりにしてきました。それだけに、怒り心頭の思いで、「必ずや参議院で廃案にするぞ」と決意を新たにしました。 四月二十四日の有事法制特別委員会、日本共産党の木島議員が「アメリカの先制攻撃から戦争が始まった場合でも、日本領海から遠く離れた場所でも協力するのか」と質問したのに対して、石破防衛庁長官は「アメリカは先制攻撃したことはありません」と答えました。 こんなバカげた答弁があるでしょうか。イラク攻撃は、アメリカが国連決議を無視して開始した先制攻撃に他なりません。 日本領海から離れた場所での事態についても「まったく想定できないので…」とごまかすばかり。しかし追い詰められた政府はついに、米軍の後方支援をする自衛隊の艦船が攻撃されたときも「わが国への攻撃とみなす」と、海外での武力行使に道を開くものであることを認めました。 もう一つの問題として、国民への戦争協力の押しつけがあります。福田官房長官は、私の目の前で「思想信条による協力拒否は認められない」とはっきりと述べました。 罪のない多くのイラクの子どもたちを殺したアメリカの戦争。これに反対することを許さない――私は身の毛がよだつ思いがしました。 これでどうして「憲法の枠内だ」と言えるのでしょうか? 戦争協力の中身についても、「アメリカへの武器弾薬の提供はできるのか」という質問に対する答弁は、「有事法制成立後に検討する」。何も明らかにせず、成立を急ぐ姿勢がありありとうかがえました。 採決は強行されましたが、ごまかしと言い逃れに終始する政府の姿勢が明らかになりました。この法案の危険な中身を広く国民に知らせることがいよいよ重要になっています。 (農民連 岡本)
(新聞「農民」2003.5.26付)
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[2003年5月]
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