「農民」記事データベース20030428-584-12

旬の味


 二十四節気の穀雨。春雨で穀物がうるおう季節となった。雪が消え、ふきのとうやのびるが芽を出した。さっそく食卓にのせてみる。当地方ではふきのとうをバッケ、のびるをヒロッコと言う。バッケみそと天ぷら、ヒロッコの酢みそ和えが毎年の初物となる。春の香りと淡い苦味がなんとも言えないおいしさだ。冬の間たまっていたストレスを一気に吐き出してくれるようだ。これこそ旬の味と言えよう▼野菜産直を始めて十年経つ。農業危機の深まり、輸入食料で食の安全が大きく揺らいだ時期だが、配達は千回を数え、継続は力だと思う▼当たり前のことだが、冷凍技術や輸送手段のない時代は、その土地でその季節に採れた物を食し、料理の工夫と技を広げ、保存の仕方を考え、伝承されてきた。今でいう地産地消だ。そこには自然の恵みへの感謝と知恵、食文化があった。今はあまりにも本物の食べ物が少ない▼春は芽の物、夏は葉物、秋は実の物、冬は根物を中心に旬の味を堪能し、本来の食生活を組み立てる。健康を保つ基本といえる。

(長)

(新聞「農民」2003.4.28付)
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2003年4月

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