「農民」記事データベース20030428-584-09

みかん畑の横にひっそりと立つ「一里塚」

愛媛・菊間町


 愛媛県菊間町の町内には三つの「一里塚」の石碑が残っています。その一つが、私のみかん畑の横の道路にひっそりと立っている「六里」です。一九八三年三月十九日に町の指定有形文化財になりました。

 石碑は安山岩で造られており、地上部がタテ百二十五センチ、ヨコ十八センチ、奥行き十六センチで、上部がとがった四角錘になっています。字は松山藩の書記・水谷半蔵の達筆で彫りも深く、約二百六十年の風雪に耐えて今もはっきりしています。

 松山藩は、寛保元年(一七四一年)、松山札ノ辻を起点として、主な道路に一里塚を造りました。「松山札の辻より○里」と書いた碑を一里ごとに立て、また、その付近には榎や松などを植えて木陰をつくり、休息の場所として旅人や役人の通行の便をはかったのです。

 私は役場で桜の苗木をもらって植え、今では大きくなり、毎年春には目を楽しませてくれます。両親が元気だった頃、夜桜を何度か楽しみました。先日は、地元の小学生が町内の史跡を学ぶために、先生に引率されて大勢見学に訪れました。

 交通機関の発達した今では、一里塚の道しるべや旧道の役目も終わり、ほとんどの人はその存在を知りません。一里塚は道の片隅で、現在の交通事情をどのような思いで見つめているのでしょうか。

(菊間農民組合 大道法幸)

(新聞「農民」2003.4.28付)
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2003年4月

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