土作りと有機物の使い方(8)涌井 義郎
ムギとマメの土作り効果イネ科のムギ類・陸稲・ソルガムなどは畑に大量の有機物をもたらし、土を柔らかくするのに優れています。作物に病害虫抵抗力をつけるケイ酸を有効化してくれます。マメ科緑肥やダイズなどは根粒菌を働かせて土を肥やします。マメの直根は畑を耕してくれます。大面積に大量の堆肥を準備するのはとてもできない、という場合は緑肥を活用します。ムギ類やマメ類を栽培してすき込むのですが、次のような留意点があります。
(1)緑肥にも肥料は少し必要です。窒素成分で四〜五キロあれば十分です。有機質肥料を用います。化学肥料だと窒素固定菌や菌根菌があまり働いてくれません。野菜の後なら無肥料でもそれなりに育ちます。 (2)輪作に導入するのが便利です。冬作にはコムギ、ライ麦、エン麦を秋まきします。夏作にはエン麦とソルガムが適します。マメ類ではダイズ、落花生などを野菜と輪作します。ダイズ、落花生は収穫後の茎葉を畑に戻します。 (3)センチュウ防除になるのはマメ科のクロタラリア、ハブソウなどです。ムギ類もセンチュウに効く対抗植物です。 (4)野菜の畑の中にエン麦や陸稲、赤クローバなどを間作するのも効果的です。昔から「麦間栽培」といって、天敵を増やして害虫を減らし、ウドンコ病を減らす効果もあるといわれます。背が伸びたら地上十センチで刈り倒すとまた伸びます。雑草抑えにもなります。 (5)排水を良くするにはセスバニアやピジョンピーという大柄なマメ科植物を使います。根が深くて耕盤破砕になります。 (6)冬場に畑を休ませるにはベッチというマメ科牧草が便利です。秋早くまいておくと畑を覆い、表土保全になり、肥沃性も増します。 (7)いずれの植物もできるだけ長く畑で育てて硬く大きくした方が有機物量もその質も良くなります。 (鯉渕学園 教授)
(新聞「農民」2003.4.28付)
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[2003年4月]
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