県が国にセーフガード発動要請元凶は輸入果汁青 森
リンゴ価格の大暴落農民の運動が行政動かす青森県は三月二十日、国に対して輸入リンゴ果汁を一般セーフガードの監視品目に加えるよう要請しました。これは、輸入果汁の急増が、国産リンゴの価格を暴落させているため。県は、リンゴの安値は輸入果汁が原因であることを初めて認めました。青森県のりんご果樹課は、〇一年産と〇二年産のリンゴが二年続けて暴落した要因を、不況や豊凶だけでなく、輸入果汁の急増が価格暴落の要因と分析。そして県は、国に対して、(1)輸入リンゴ果汁を監視品目にして機動的、効果的にセーフガードを発動できるようにすること、(2)リンゴ果汁加工品に原料原産地を表示するようJAS法を見直すこと、(3)果樹経営安定対策を充実強化し、補てん基準価格の決定は、経営安定に資するよう十分配慮することを要請しました。 ところが国は、「輸入リンゴ果汁と国産リンゴの因果関係が明らかでない」などと門前払い。原料原産地の表示についても、「コストの問題から業界から困難との意見がある」という理由で「現状では困難」と回答しました。 こうした国の姿勢は、リンゴの安値に苦しむ農家の切実な要望に背を向け、外国資本と手を結んで輸入果汁でもうけをねらう大手飲料メーカーの立場に立った不当なものです。 リンゴ果汁の輸入自由化(九〇年四月)によって、輸入量はこの十年間で倍増する一方、国産リンゴ果汁の生産量は十年前の四割に激減。その結果、自由化前(八九年)は、国産八割、輸入二割だったリンゴ果汁の割合は、現在(〇二年)、輸入八割、国産二割と、完全に逆転してしまいました(図〈図はありません〉)。 〇二年のリンゴ果汁の輸入量は約六万キロリットルで、これを生果のリンゴに換算すると約三十八万トン(青森県試算)。全国の生産量の四割に相当する膨大な量の輸入果汁が、国産果汁を飲み込み、さらに生食用リンゴにはね返って、リンゴの価格暴落を引き起こしています。 リンゴの自給率は、自由化前はほぼ一〇〇%でしたが、自由化後は年々下落し、〇一年は五八%。その主な要因は、急増する輸入果汁です。 青森県農民連は、早くから輸入果汁の影響を指摘してセーフガードの発動を求めてきましたが、県は当初、国と同じようなことを言って、これに背を向けてきました。しかしここにきて、全国のリンゴの五割以上を生産している青森県が、国にセーフガードの発動を求めたことは大きな意味があります。 他の主産県や市町村、農協、そしてすべてのリンゴ農家を巻き込んだ大きな運動で、国にセーフガードの発動を迫っていくときです。
(新聞「農民」2003.4.28付)
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[2003年4月]
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