「農民」記事データベース20030421-583-11

旬の味


 「悪魔の火の種蒔(ま)きびと。邪悪の球根(地雷)を植える者に、私どもは<人間>の名を許さない。この大地は、春ごとにやわらかな緑が芽をふくところ。世界中の子どもたちが、嬉々(きき)としてスキップするところ」(詩人、新川和江さん)▼こうした柔らかな感性がだんだん消されてゆくのが怖い。NHKニュースのイラクの立体模型を使った「戦争解説」には、その地域で暮らす子どもたちのまなざしは見えない。その声も聞こえない▼先日NHKに抗議のメールを送った。返事は、「ご意見ありがとうございました。」だった。人間としての声を聞きたかったのに。軍事評論家が平和的解決の方向を述べたことがあるか▼新川和江さんの詩とNHKの報道の差は何か。それは「怒り」だと思う。「怒り」を持続することは、そうたやすいことではない。しかし、今あきらめることは〈人間〉の名を汚す道を選択することではないか。「怒り」を持ち続ける柔らかな感性は、いつも子どもたちのまなざしとその笑顔の中にある。

(本)

(新聞「農民」2003.4.21付)
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2003年4月

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