栃木、福島の牧場を視察安い経費で糞尿処理茨城県西畜産部
茨城・県西農民センター畜産部の酪農家四人は三月三十一日、糞尿処理対策の情報を集めようと栃木県黒磯市と福島県白河市の牧場を視察しました。視察のきっかけは、今年一月の畜産部会新年会に招いた飼料会社の「ゼンケイ」の西達志さんから、経費をあまりかけずに糞尿処理をしている二つの牧場を紹介されたからです。 黒磯市の井上牧場は、エサ場の隣りにおがクズを敷き詰めた屋根付きの放牧場があり、そこで牛がした糞尿が自然に任せて堆肥になるという具合で、“ルーズバーン方式"と呼ばれる方式です。 重量鉄骨の柱だけの建物で、二百四十坪に九十頭の牛を放し飼いしています。建物は補助を受けず、千五百万円を借り入れて、自前で作ったものです。糞だしや堆肥の切り返しなどの手間がはぶける利点があります。結城市の山中光夫さんは「ちょっと原始的だが、非常に投資が少ない。これからやろうと思っているので参考になった」と感心していました。 白河市にある前畜全協会長の持田さんの牧場では、まだ実験段階ですが、独自の方法と身近なものを利用した設備で糞尿を処理していました。 二つの牧場に共通するのは、経費をなるべくかけない点です。今でさえ、経営が厳しい中で堆肥舎などへの新たな設備投資は、経営を左右する大きな負担となります。畜産農家は、家畜排泄物処理法によって厩堆処理施設の設置を義務付けられました。この法が本格施行される来年十一月までに畜産農家は半減するのではと言われ、離農の呼び水にもなりかねません。 また、補助や自己負担で堆肥舎を作ったとしても、固定資産税の問題が出てきます。県西地域では三年前の固定資産評価替えの年に、結城市の酪農家の畜舎部分を農業用施設用地として見直すよう税務課に申し入れて引き下げさせました。 牛海綿状脳症(BSE)発生で痛めつけられた生産者側がさらに糞尿処理対策で負担を強いられています。消費者重視とともに、畜産・酪農家の努力が報いられ、生産意欲がわくような政策が望まれます。 (茨城・県西農民センター 前田修一)
(新聞「農民」2003.4.21付)
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[2003年4月]
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