「農民」記事データベース20030414-582-08

土作りと有機物の使い方(6)

涌井 義郎


ボカシ肥料の作り方、使い方

 発酵有機質肥料(ボカシ肥料)には、堆肥と同様にさまざまな機能性があります。窒素・リン酸・カリウムなどの肥料成分のほか、作物は糖・アミノ酸・核酸・ビタミン類などの有機物質を吸収し、天候不良時などに活用して体力維持を行います。また、こうした有機物質とボカシ肥料中にある豊富なミネラルが耐病性を増し、生産物の味を濃くし、日持ちを良くするなどの効果があります。堆肥のように拮抗菌の持ち込みにもなります。

 ボカシ肥料は、買ってはいけません。身近な材料を配合して自分で作ります。かす類、米ぬか、鶏糞、豚糞、カニ殻、カキ殻、グァノ、もみ殻燻炭、木灰などです。表のように成分含量を想定して混合します。

 
ボカシ肥料の配合例
材 料
成分量(%)
配合比率
配合後の成分量(%)
N
P2O5
K2O
N
P2O5
K2O
A
平飼い鶏糞
2.0
3.0
1.0
50
2.0
3.4
1.3
米ぬか
2.0
3.8
1.5
50
B
ナタネ油かす
5.3
2.0
1.0
60
グァノ
0
19.4
1.0
15
3.5
5.1
1.6
米ぬか
2.0
3.8
1.5
20
木 灰
0
4.0
10.0
5
B
生ゴミ処理物
2.6
1.8
1.0
60
グァノ
0
19.4
1.0
15
1.9
4.8
1.5
平飼い鶏糞
2.0
3.0
1.0
20
木 灰
0
4.0
10.0
5
(1)配合比率は容量比
(2)生ゴミ処理物は「発酵処理機」で作られたもの
(3)他に窒素質グァノ(窒素12%、リン酸8%くらい)がある
(4)油かすは「遺伝子組み換えナタネ・ダイズでないものを」と運動に活用する

 作り方のポイントは、(1)紫外線と雨を避けて屋根の下で作る、(2)土間で作ると菌が定着する、コンクリート床でもできる、(3)水分含量 は五〇%くらい、手で握った塊を指でつつくと軽く割れる程度、(4)土間に高さ五〇センチ以下の山(うね)に盛る(高温期は低い山、低温期は高い山)、大山だと内部が六五℃以上になって菌が自滅する、(5)稲ワラやムシロで覆う(光をさえぎる、ワラから菌をもらう)、(6)六〇℃以上になったら切り返して冷ます、(7)水分が飛んで白く乾き、温度が下がったら完成、保存できる。

 発酵菌は、鶏糞、米ぬかなどに着いていて自然に増殖しますが、竹藪や落葉樹林の落ち葉下から土着菌を採取して加えるのも有効です。

 使い方は、全面散布して耕耘する方法でよい。ポイントは、(1)堆肥と併用する、(2)化成肥料との併用は避ける、(3)うね下やうね間の溝施肥が持続性を増す(果菜類)、(4)追肥はうね間に散布して混ぜ込む、うね肩に穴施肥する、などです。成分比率を変えた二〜三種のボカシがあれば、ほとんどの作物を作れます。

(鯉渕学園 教授)

(新聞「農民」2003.4.14付)
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2003年4月

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