土作りと有機物の使い方(5)涌井 義郎
堆肥の作り方・使い方堆肥の目的は、投入する有機物の機能性を高めることです。この目的にかなう堆肥の作り方のポイントは次の三点です。(1)分解の早い材料(かす類、ぬか類、生草、家畜糞等)と遅い材料(ワラ、落ち葉、もみ殻、オガクズ等)を混ぜて作ります。早い材料は発酵を促進し、遅い材料は堆肥の機能性を高めます。遅い材料だけで作る場合は、堆積期間を十分長くとります。 (2)堆肥を六〇℃以上に発熱させるために、当初水分量の管理と切り返しが重要です。水分量はギュッと握ってわずかに水がしたたる程度。定期的な切り返しは堆肥の発酵を促し、材料全体を均質に分解させます。 (3)完成堆肥の熟度と質を見きわめます。判定は、腐敗性の悪臭・アンモニア臭がない、体積が約半分になる、色が黒っぽくなる、材料の形がくずれてポロポロしている、PHが7〜7・5になる、ミミズが潜り込んでいる、が目安です。未熟堆肥は酸性を示し、有害物質がまだ残っています。
堆肥の使い方のポイントは次の四点です。 (1)堆肥は生き物ですので、畑に散布したらすぐにすき込みます。散布したまま放置して乾燥させると、有用微生物が弱り、機能性が低下します。 (2)通常は全面散布して耕耘しますが、果菜類ではうね下溝施用やうね間溝施用が有効です。堆肥は、まとまって存在すると持続性があり長期栽培する作物の体力維持に効果的です。 (3)堆肥で表土からの土作りもできます。露地の果菜栽培でうね上やうね間に堆肥を敷き、この上に敷きワラを行うと表土改善ができ、果菜の体力維持と病害抑制、天敵の涵養に効果的です。 (4)石灰と堆肥の同時施用は禁物です。石灰が必要な場合は、堆肥施用の二〜三週間前に行います。堆肥の継続施用は酸性土の改良になります。 (鯉渕学園 教授)
(新聞「農民」2003.4.7付)
|
[2003年4月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224
Copyright(c)1998-2003, 農民運動全国連合会