「野菜を持ってきました〜」出前直売所 はりきるお母ちゃんたち
ふれあいが励み 和歌山和歌山県海南市にある大型児童公園「わんぱく公園」。その入口近くで、毎週土曜日に開かれる「いきいき直売所」は、この四月で丸三年を迎えます。そこを切り盛りする元気なお母ちゃんたちはいま、「出前直売所」にはりきっています。松田吉恵さん(55)と奥博子さん(56)は、下津町農民組合のミカン専業農家。二人が所属する生活研究グループ「かすみ草」のメンバー六人が、直売所の運営の中心です。
お年寄りのひとことが“出前”のきっかけ親子連れがたくさん遊びにきて大にぎわいの公園。その近くにある直売所が「出前」を始めたのには理由がありました。 「売れると思ったけど大ハズレ。若いお母さんたちはトマトやキュウリなど、生で食べられるものしか買わないのよ」と松田さん。「料理の方法を教えても、菜っ葉や小芋、ゴボウなどを買うのは十人に一人くらいね」と奥さん。そこには、“料理を作らない”“作る時間がない”“作り方を知らない”など、食をめぐる様々な問題が横たわっていました。 悩んでいた時に、お年寄りから「重たいんで、持ってきてくれたらうれしいけど…」と言われたのが、「出前」のきっかけ。
売り上げの一割積み立てて楽しい計画毎週土曜日、朝八時半に集荷、三台の車に野菜を積んで九時出発、十二時まで市街地を回ります。車を止めて「野菜を持ってきましたー」と声をかけると、三〜八人が集まってきて、「先週のホウレン草、甘かった」「真菜(まな)をお漬物にしたらおいしかった」と反応が返ってきます。 「こんなに大きいブロッコリー、どうやって作るん?」と聞いてくる農家に作り方を教えたり、「おじいちゃんはデイサービスやから今日はゆっくりや」と言うおばあちゃんを「たまにはゆっくりしーや」といたわったり、ふれあいが何よりの励みです。そして、これまで近所に配っていた野菜が種や肥料を買うお金になり、売り上げの一割を積み立てて、みんなでおいしいものを食べにいったり、楽しみが増えました。 「かすみ草」グループは、直売所だけでなく、大豆や学校給食のみそ作りもしています。そんな元気な活動が、一昨年、県知事の表彰を受けました。「もっと充実した野菜作りをしてボックス供給で消費者とつながりたい。勉強もしっかりして、同じ思いでもの作りをする仲間を増やしたい」と夢を語る松田さん。女性たちの表情は明るく引き締まっていました。 (和歌山県農民連 宇治田悦子)
(新聞「農民」2003.3.31付)
|
[2003年3月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224
Copyright(c)1998-2003, 農民運動全国連合会