今年は固定資産税の評価替えの年税金を払いすぎていませんか? よく確認を茨城・県南農民組合 村田 深
固定資産税は三年に一度、一斉に評価替えを行います。今年はその基準年度で、固定資産税台帳の縦覧や審査請求ができる特別な年です。改正された制度をいかし、自分の資産の評価額をしっかり確認しましょう。
農業用施設用地の評価は特に要注意作業場や倉庫、ハウス、堆肥舎、畜舎などの農業用施設用地は、農用地や市街化調整区域であれば、農地の価格に造成費を加えて計算することになっています。 農地の価格は一平方メートル当たり数十円ですが、造成費は市町村によって五百円から数千円と大差があります。同じ農業を営むための土地なのに造成費を足すこと自体が不当なことですが、それが実態よりも過大に計算されていることが問題です。 その原因は多くの自治体が自治省(現在は総務省)が例示した東京都の算出額をそのまま使っているから。東京の例では、擁壁費が造成費の六〜八割を占めていますが、擁壁のない土地にも擁壁費を含む金額をそのまま使っている自治体が多いのです。農民連は各地でこの点の改善を要求し、成果をあげるとともに、総務省に適切な指導を要望してきました。 その結果、昨年九月九日に総務省自治税務局資産評価室長の第二十六号通達「市街化区域農地の評価に用いる『通常必要と認められる造成費に相当する額』について」が出されました。同様の算出額の例示がされていますが、「なお、農業用施設用地等の評価に用いる『当該宅地を農地から転用するために通常必要と認められる造成費に相当する額』の算定に当たって、本通知における標準的造成費を参考とする場合は、当該市町村の地域の実情に応じ、擁壁の有無等を考慮した上で、適正な造成費を算出するよう留意してください」と付け加えられました。 本来、固定資産の評価は現況の時価を個別に計算するべきですが、それが困難なために、市町村ごとに概算の造成費を決めています。これが、納税者にとって実態より不利になるような金額であってはなりません。 市街化区域農地の評価では、宅地並み評価額から造成費を差し引いて評価額を算出するので、造成費を高く見積もる方が安くなります。実際に市街化区域の方が擁壁を必要とする場合が多いと考えられます。 評価室長通達は、こうしたことをふまえ、引き算となる市街化区域農地の評価では造成費に擁壁費を含んで計算したとしても、農業用施設用地の評価では実際にはない擁壁費を造成費に加えるようなことがないように注意を促しているものといえるでしょう。 造成費には擁壁費の他にも、土盛りの高さなど様々な要素がありますが、実際には造成費をゼロ円とみることが妥当な土地も少なくないはずです。実態に合う評価を求めましょう。 農業用施設用地が住宅用地と隣接している場合、明確な境界がないと一体のものと見なして一般宅地として評価されることが多いようです。軒先の位置で区分して評価している例もあり、この点でも改善を求めることが大切です。また、住宅用地として評価する場合、二百平方メートルまでは小規模住宅用地として六分の一、それを上回る部分は農家の床面積の十倍までは三分の一となる一般住宅用地の軽減が正しく適用されているか確認しましょう。 三年前の評価替えのときには、すでに農業用施設用地は農地価格を基に評価することに基準が変わっていましたが、対応が間に合わずに今回の評価替えで初めてこの計算方法に改める市町村も少なくないようです。 今回の評価替えが適正かどうかとともに、さかのぼって見直すことも大切です。払い過ぎていた税金は返還を求めましょう。
縦覧で基準地などの評価額の確認を四月一日から二十日、または最初の納期限のいずれか遅い日まで役場で新しい評価額の縦覧ができます。比較するために他の土地の評価額も見ることができるようになりました。コピーをしてもらい、じっくり見るとよいでしょう。同じ建物が重複して評価されているとか、売った土地がまだ自分に課税されているとか、単純なミスも少なくありません。疑問があれば、すぐに最寄りの農民連に相談してください。
審査申出をしよう評価額に不服があるときは、四月一日から納税通知書が来た後六十日までの間に固定資産評価審査委員会に審査申出をしましょう。 審査委員会は、市町村長が任命した三人の審査委員で構成され、行政から独立した第三機関として納税者と行政双方の意見を聞いて評価額の適否を決定するもので、小さな裁判のような形式で進行します。救済制度ですので、評価額が引き上げられるような決定がでることはありません。安心して申出をしてください。代理人を立てることもできます。
農民組合に加入したら固定資産税十七万円が戻ってきた!茨城県連の横田千之会長が、新しい組合員のAさんの固定資産税の明細を見ると、宅地が三筆もありました。そのうちの一反七畝の地目は宅地となっていましたが、実際は畑です。固定資産税は、現況で課税することになっていますので、明らかに間違いです。横田さんが町の税務課に行って説明すると、さっそく二年分の差額十七万円が返還されました。 横田さんは昨年も、組合員のBさんの明細を見て、同じ敷地に建っている息子夫婦の住宅用地の減額が適用されていないことに気づき、税務課に指摘しました。 住宅用地は一世帯当たり二百平方メートルまで六分の一に減額されますが、親世帯の分しか減額されていなかったのです。五年前までさかのぼって二十万円が返還されました。
(新聞「農民」2003.3.31付)
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[2003年3月]
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