土作りと有機物の使い方(2)涌井 義郎
土作りは森林に学ぶ人が田畑を耕し、作物を栽培しては持ち出すようになって、土は自らの力で活力を貯えることができなくなりました。肥料をやるのはそのためです。森林は、耕しませんし肥料もやりませんが、土は衰えもせず少しずつ厚みを増し、発達します。農耕もこの森林のメカニズムに学ぶことが大切です。 森林が発達するのは、(1)植物根が多く深い、(2)木々の枝葉と落葉が土中生物を攪乱と紫外線から守る、(3)根の分泌物と腐葉からの炭素と窒素が微生物を養う、(4)窒素固定菌が活躍する、ためです。 森林に特定病虫害が多発しないのは、(1)多様な植物が混ざり合い、(2)多様な小動物と微生物が繁殖して共生し、(3)食物連鎖があるからです。 こうしたメカニズムを畑に応用すると、少ない肥料で作物を強く健康に育てられるのです。
方法は、根をたくさん張る作物を輪作に入れます。トウモロコシ、ソルガム、ムギなどは根量 が多くて、土中にたくさんの有機物を持ち込み、深くまで根が耕します。根の周囲で窒素固定菌が働いて土を肥やします。 できるだけ耕耘の回数を減らします。耕耘は土中微生物の棲息を攪乱して働きを妨害し、有機物の消耗を早めるのです。 雑草も畑のフタとして土中微生物を保護し、光合成で炭素を獲得する(微生物のエネルギーとなる)ため、緑肥の代用になり有益です。特に冬の畑はできるだけ裸にしないことが肝要です。 堆肥と有機質肥料、緑肥などの必要十分量をきちんと補給します。十分な有機物が地力を高め、窒素固定菌を働かせ、有機物分解菌が病原菌と拮抗して畑の健全性に役立ちます。 (鯉渕学園教授)
(新聞「農民」2003.3.17付)
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[2003年3月]
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