新連載土作りと有機物の使い方(1)涌井 義郎
土作りの意味はじめに環境と調和した農業、安全・安心な作物作りは筆者の勤務する鯉淵学園(茨城県)の学生も強い関心を持っています。その基本の一つが土作りであり、有機物の使い方です。この稿では、土作り技術の基本と応用について述べます。水田については、稲葉光國さんが前号までに紹介されましたから、私は畑の土作りを紹介します。役立てられる情報があれば活用してください。 土作りをきちんと行うと、(1)低温や曇天などの不良気象に作物が耐えられるようになり、(2)不溶性のミネラルが次第に溶け出して作物が健康に育ち、(3)野菜や果物が味良く栄養価が高まるなどの効果があると言われています。作物が強く健康になることで、病害も虫害も減り、結果的に農薬依存も少なくてすむことになります。 土は誰が作るか。実は植物の根と土の内外にすむ虫や微生物が作るのであり、人は小さな生き物たちがうまく働けるようその環境作りとエサの提供を行うのです。ですから土作りの基本は、(1)植物の根を旺盛にたくさん地中深くまで張らせること、(2)有機物を分解して土に栄養を貯える働きをする虫や微生物の「すみか」を保証し、(3)そのエサとなる有機物をしっかり補給してやることです。
有益な虫や微生物に働いてもらうためには、こうした小さな生き物の生存を脅かす化学物質は有害です。ですから、土作りは基本的に農薬使用と対立します。土作りは農薬に頼らない栽培技術の土台となるものです。 さらに、有機物(有機質肥料)は肥料というより土作り材料です。「良く作られた土が作物を健全に育てる」方法を次号から具体的に述べます。 鯉渕学園(農業・生活専門学校) 教授
(新聞「農民」2003.3.10付)
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[2003年3月]
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