「農民」記事データベース20030303-576-18

旬の味


 冬の伝統行事が盛んに行われ、どこでも賑わいを見せている。祭で共通しているのは五穀豊穣と無病息災を願っていることだ。命の源、食と健康が人間生活の基本であることを教えている▼当地方のかまくらは幻想的な雪国ならではの行事で、子どもが主役なのもいい。かまくらの中に水神様が祭られている。水飢饉で苦労した先人の願いと祈りがこめられていて、いかに水が重んじられていたか思い起こさせる▼以前、世界遺産の白神山地に行った時、樹齢百年のブナの巨木に感嘆した。案内してくれた切り絵作家の平野庄司さんから貴重なお話を聞いたことがある。ブナの樹幹はすべすべしていて降った雪は広い葉で受け、幹を流れて堆積した腐葉土に貯えられ、長い時間をかけ海に向かって流れていく。それに比べ、杉の樹は皮がごつく雨水が幹に留まり地面に届く前に蒸発してしまう▼そう言えば漁師が森は海の恋人だとしてブナの植林を始め、上流にブナの木を植える運動が広がっている。水はまさに宝である。春とはいえ白神のブナの芽はまだ固い。

(長)

(新聞「農民」2003.3.3付)
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2003年3月

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