「農民」記事データベース20030303-576-14

結成10周年

心の交流で切り開こう

農民連青年部第11回総会

 今年、結成十周年を迎える農民連青年部は二月十六日から二日間、東京都内で第十一回総会を開きました。総会では全体討論のほか、シンポジウムや笠木透さんのミニコンサートを行いました。記念レセプションでヒューマン・ファーマーズの歌とともに、築地から仕入れた新鮮な鱈の寄せ鍋や各地の自慢の農産物を食べ飲みながら親交を深めました。


生命を育む農と食のシンポ開く

 「女性パネリストが語り合う――生命を育む農と食のシンポジウム」では、生産、流通、料理、保育の分野から四人の女性パネリストが発言。茨城県で野菜を生産する椎名知哉子さんは「大変な面もあるが、農業はけっこう好き。勤めていた頃の一人の年収と家族四人が働いた年収が同じで働きに出ようかと迷ったりもするが、食べてくれる人たちと交流し、おいしいと喜ぶ姿を見ると元気が出る。これからも作る面白さや食べ方などを消費者に伝えていきたい」と話します。

 東京産直事務組合の藤原麻子さんは「新婦人産直には感動がいっぱいある。物の流れだけでなく食の安全と農業を守る運動がついてくる。東京では署名運動で『食の安全』予算を実現した。豆腐屋さんとの『産直豆腐の日』や、米屋さんとの米産直では『産直米ですくすくと』と描かれたマイ米袋を作るなど、食べる側から新しい提案をしている。青年も新婦人とどんどん交流して、ものづくりに生かしてほしい」と提案しました。

 産直の経験を語ったのは荒川区に住む家庭栄養研究会会員の為我井雅子さん。「安全でおいしいものを食べたい、農家に農業を続けてほしいから産直。ガーデンメッセ(東京・足立の農民連直売所)では顔を見て、お喋りしながら買える良さがあり、大豆トラストは農作業で汗を流すことで生産者とのつながりがぐっと深くなった。生産者の人柄や顔が思い浮かぶ食べものを増やすことが楽しみで、人間関係が豊かになる。食べ方は生き方。こういう交流がすごく大事」と語りました。

 保育と食事を二本柱で運営しているみどり共同保育所(横浜市)の調理士、洲脇育子さんは「子どもたちの昼食とおやつを、庄内産直センターのお米や季節の野菜などを使って手作りしている。田植えや稲刈りで庄内に行って交流した子どもたちは心が大きくなって自信がついたように感じる。子どもたちは、心も一緒に食べている。食べることで体と心がすべて作られていると感じています。良い物を作り続けてもらうためにこれからも食べ続けていきたい」とエールを送りました。

 全体討論では、ガーデンメッセへの柿の出荷に取り組んだ静岡県藤枝農民組合事務局の鈴木宏子さんが「豊作で直売所でも市場でも売れなかった柿が、安い価格でも売れたことで生産者が喜んでいた。これからは生産者と一緒になって食べる人とふれあい、交流しながら売っていきたい」と発言。また「買ったお茶がマズイとの電話で返送品を飲んでみたら普通の味だった。ダメもとで飲み方を細かく伝えたところ、おいしいお茶だとお礼の電話がきた。クレームは一種のチャンスかなと思った」(奈良県・岩田文明さん)など十六人が発言しました。

 最後に菅井巌青年部長は「価格や所得では厳しい反面、シンポジウムでは、私たちの作った農産物が、子どもたちの生命や健康、そして心の成長につながっていることが明らかになった。生産技術を学び、磨きあいながら、生産だけにとどまらない動きを前進させていこう」と報告。さらに「地域の青年が集まって話し合う場所も必要で、おいしいものを食べ、飲みながら話し合うとともに、県や自治体に青年の声を届けていこう。地域で、相談できる二人以上の仲間を作って悩みや要求を相談しながら、青年部の活動を前進させよう」とまとめました。

 総会では来賓の全商連青年部協議会の小林俊光さんが、不況のなかでがんばる業者青年の取り組みを紹介しながら「農家と業者も手をたずさえることがかつてなく必要。地域を豊かにするために、互いに手をたずさえていきましょう」とあいさつ。また、小泉親司・日本共産党参議院議員、農民連の笹渡義夫事務局長があいさつしたほか、全労連青年部、国公労連青年協議会、全税関からのメッセージが紹介されました。

 総会は新しい役員を選出しました。▼部長=菅井巌▼副部長=椎名俊英、石橋正、葛西拓美、岩田文明(新)、佐々木健洋(新)▼事務局長=森吉秀樹▼会計=笠原尚▼幹事=渡沢寿、鈴木宏子、堀越茂一(新)、松長顕治(新)、満川暁代(新)、八田純人▼会計監査=菊地原靖、菅沼浩

(新聞「農民」2003.3.3付)
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2003年3月

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